写真集ということで販売されておりますが、素晴らしいのは、どんな質問にも真摯に語る横綱の対談です。“自分で自分のことを、‘これで満足だ’って思った時点で、人間終わりですよ。これ以上歩く道がないと感じたら、どこも歩けない。“などの発言には横綱の人生哲学が伺えます。バッシングされる理由についてはは、“俺は今、咲いている花だから、この花をいいと思うか悪いと思うかそれは見る人次第だからね。俺はただ、太陽に向かって咲いているだけ。花は喋らないでしょ。応援してくれるファン、親方、家族、友達は俺にとっての太陽。”と答えます。それでは、花の栄養源になる水は何かと聞かれると、“俺のことを悪く書く人が、俺にとっての水かもしれない。”と他人の悪口や自分の弱音というものは殆ど吐かない。そうした質問の中で、何度か例外的に横綱が“それは言葉で言うことじゃねいから”といって答えない質問項目とは、1)母国でのボランテア活動、2)若い衆への世話、3)マスコミに対する反論などです。普通の人間なら、真っ先に自分の長所の宣伝と、敵対者への反論を口にするものですが、この横綱は反対で、話題によっては敢えて言葉では語らない古武士のような美徳が感じられます。“俺ね、もう腹の中は日本人なんですよ。”という横綱は、1)モンゴルでは流れ星は不吉な前兆を表しているとされているのに、星に祈り、2)大鵬や曙らの先輩横綱の助言を肝に命じ、3)床山で最高位に上り詰めた床寿を日本の父と慕います。その床寿の“50年間、この仕事をしてきたけど、取り組み前にあそこまで汗を流す力士は見たことがない。”の言葉は、朝青龍という力士の相撲に対する姿勢を何よりも説明するものです。横綱が日本とモンゴルの両方に限りなく愛情をそそいでいるのは、モンゴルの草原で子供たちと無邪気に一緒に跳ねる素晴らしい写真や、将来、モンゴルと日本の戦争中の間の悲恋を描いた映画を作製したいという夢などでわかります。横綱は、“800年前のモンゴルに行って、殺されるかもしれないけど日本との間の平和の使者になって元寇を防ぎたい。”とまで語ります。最後に、自らの両親を尊敬してやまない横綱ですが、横綱が心にとめているという母親の言葉を引用します。“自分が大きな道になれば、たとえ友達が横道に行ったとしても、必ず帰ってくる。”“その国の水を飲んだら、その国の習慣に従いなさい。”