「相撲求道録」が原著タイトル。いわく,「基本の型」を稽古で身体に覚え込ませ,取り組みで無意識に出るようになることが大切で,これによりケガをしない身体がつくれる。またいわく,稽古を続けているとスランプに陥るが,スランプを抜け出すにはやはり稽古が必要で,一心不乱に稽古に打ち込める「心の強さ」こそ重要である。
このような意識と無意識,心と身体のバランスがパフォーマンスに影響するという論は,さほど珍しくはないけれど,双葉山の言葉はいわゆる「一流スポーツ選手」の言葉以上のもので,非常に説得力がある。構成や書き起こしといった編集サイドの技術が長けていることも,双葉山の思考を伝えることに,役立っている。
相撲という国技について語りながら,同時に相撲のスポーツ的な要素について説明しているようにも読めるのは,双葉山の考え方が,確固たる経験に基づいた独特なもので,「ひらかれている」からだと思う。