著者は、アジア独立運動史における日本人民間志士の役割について研究している人物という。そのなかで、中華街という問題を扱ったのが本書だ。つまり、中華街に亡命してきた中国人とか、中華街を舞台とした共産党と国民党の争いとか、そういったあたりを語ったのが、この本なのである。
そのため、中華街のレストラン、料理、雑貨なんかに関心のあるひとが読んでも、がっかりさせられるだけなので、ご注意。
本書では、中華街の発生から戦後しばらくくらいまでの歴史が、エピソードを中心に、通史的に語られている。ただ、視点がきわめて限定的で、全体像が見えてこないのが不満。もう少し積極的に、中華街の位置づけとか、世界史/中国史における役割のようなものについて、説明してほしかった。