横山大観の代表絵画、オールカラー図版で40点が掲載され、一点一点丁寧な解説がある。
「屈原」は大観一代の力作で、悲愁・凄惨の気溢れる。大観の鋭敏な感覚の一端を知ることができる。追放されてなお潔癖を貫く屈原を、同じく追放された岡倉天心になぞらえて描いたと言われる。
「夜桜」は本書カバーにも使っている六曲一双の紙本彩色の装飾画。ローマで開かれた日本美術展の出品作品。世界に日本画を知らしめることは、岡倉天心の主張であり、それはそのまま大観の念願でもあった。制作に五ヶ月を労した名作で、大観装飾画の最高峰である。
「白砂青松」は絹本彩色、晩年の佳品で、日本人が失ってはならない美しい自然の風景である。海浜は汚れ、松は枯れることの多い昨今、日本のあるべき姿の原風景を描いて、我々に啓示を与えてくれているような気がしてならない。
大観は明治元年生まれで、明治・大正・昭和と90年を生きた画家である。日本画のあるべき姿を平成に、21世紀にどのように継承していくかを考えてみなければなるまい。