嗚呼、いい、横尾忠則はとてもいい。どうしてこんなに横尾忠則は素敵なんでしょう。
彼の描いたどの一枚のイラスト・ポスターに対峙するときも、天と地もすべての時間と空間を超越した感覚を感じて、その絵柄の本来のテーマ性とはまったく別の全然異なった、おまえは誰でどこへ行こうとしているのか、とか、真理を追求せよ妥協を許すな立ち止まるな、などといった詰問や啓示めいたサジェスチョンをどこからか聴くような気がするのです。
父に言わすと、それは自己暗示で、自分自身が彼の芸術に対して依存していてそれを見る時が、まるで懺悔する行為のように成立しているのだといいますが、どうせ私は依存症です。
でも2、3日この本を朝から晩までながめて暮らしても厭きるということがなく、至福のときを過ごしました。
この本は、横尾忠則がまだ高校生のときに描いたものから最新作まで、57年間の彼の魂の遍歴を示した約900点の全ポスターを集めたものです。
もちろん、ほとんどすべてすでに目にしたものですが、こうして改めていちどきにまとめて見てみると壮観も壮観、今さらながら世界の横尾忠則なのだということを震撼してしみじみ感じます。
それをあろうことか、何年前でしたっけ、確か1980年代初頭にグラフィック・デザイナー廃業みたいなことを言い出して、画家になると宣言したりしたのでした。
さすがに彼の描く絵画もすばらしいものですが、ポスターでの彼の軽いフットワークさ猥雑さも捨てがたい魅力なので、ぜひとも今後とも描いてほしいと切に願っているところです。お願い!