今日の新聞紙面の7割とも8割ともいわれる「発表報道」
単純に言ってしまえば「発表報道」とは、「権力側が発信
する情報を速報ニュースとしてそのまま垂れ流す」ことで
しか無く、震災報道、特に福島第一原発の報道などによっ
て報道不審の声が一気に高まったように、それは「客観報
道」などと呼べるようなものではなく、権力側の言い分を
一方的に報じる「偏向報道」、ある意味で権力サイドの広
報にしか過ぎない。
一方「調査報道」とは、編者である小黒氏によると、「究
極的には、社会正義実現のために行う」ものであり、その
成立するための要件は'一.権力側が隠そうとする不正など
の都合の悪い事実を、'二.独自の調査取材で、'三.読者の
ために報道すること、であるとされる。
本書はそんな「発表報道」の対極に位置するような「調査
報道」にスポットを当て、
元朝日新聞記者 山本博氏「リクルート報道」
前琉球新報論説委員長 前泊博盛氏「日米地位協定関連文書をめぐる報道」
元高知新聞社会部長 依光隆明氏「高知県庁の闇融資問題の報道」
朝日新聞記者 板橋洋佳氏「大阪地検特捜部検事による証拠改竄報道」
上記四氏のインタビューを通して、「調査報道とは何か」
を明らかにしようとするものである。
「権力は腐敗する」とはアクトン卿の言葉であるが、その
前提に立てば、その権力の監視といった役割を担っている
のが報道機関であり、究極的には「調査報道」である。
そうであるならば、各報道機関はもっと「調査報道」とい
う部分に力点を置くべきであるのが自明ではあるが、今日
の紙面は残念ながらそうはなっていない。
本書を読むと、巷間言われるような報道機関の体たらくと
は相反するように、それなりに志もあり熱意もある記者が
多くいることがよくわかる。
しかし、「調査報道」といった報道機関が本来積極的に取
り入れるべき手法が、必ずしも根付いていないのはいった
いどうしてなのか。
そういった問題点も含め、本書を読めば理解できるだろうと思う。