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現在進行形の問題で実名を挙げて(つまり猪瀬直樹氏)、これだけ辛辣に批判をあびせたジャーナリズムの本が、かつて有ったか記憶にない。猪瀬氏のことを「ボクちゃん」呼ばわりまでしているので、読んでいる方がオロオロする。事実関係に余程自信が有るのだろうが、誤りが有ったら間違いなく裁判になるな。櫻井氏がなぜこれほど激烈なのか、後々分かる事になるが、それは読んで確認して下さい。
道路公団民営化が如何に骨抜きにされていくかを報告した本であるが、詳しい事は読んで頂くとして、読後感は別にある。日本人は、いつからこんなに計算高くなったのだろうという事だ。己の私腹を肥やす損得勘定しか物事の価値観が無くなってしまったのか。
川本裕子民営化委員が猪瀬氏にこう言い放つ。
「人間が信念で動くということを理解できない人もいる」
櫻井氏はそれに対して、「そのような人間が主流を占めているのが現代日本であり、戦後の日本の姿でもある。」と述べる。
同感だ。一割の他人のために死んでいく人間と、九割の卑怯者で日本はなりたっていると私はかねがね思っていたのだが、皆さんはどのように考えるだろうか。
氏の著作は、国のあり方を問う姿勢など、国粋的な印象を受けていたため個人的に敬遠していたが、それ以来著作を手にとるようになった。
この本は、多少とも道路建設を抑制する道路公団改革案が、いかにして道路族と官僚を喜ばせる道路建設推進案に変わったのか、を追跡したものである。その中で、改革派と目されていた猪瀬直樹氏の不可解な言動に直面する。結論から言えば、道路公団改革は、猪瀬直樹の猟官運動(国土交通大臣)の単なる手段だったからという。ここまで徹底的に批判されて、ろくに反論しないのであれば、猪瀬氏は言論人として死んだも同然である。コンプレックスをばねにした、過剰なハングリー精神で走ってきた猪瀬直樹。彼の著作で「日本国の研究」は評価できるものだが、自身の切実なテーマというより、いかに世間の耳目を集めるか、「出世」の道具としての観点でテーマを選択していることは明らかだ。
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