グイグイと読ませるんですよね、この本。
被害者、被害者の家族、犯人、事件を追うジャーナリスト――。
読んでると、さまざまな人たちの人生が浮かび上がってくる。
重たいテーマにもかかわらず、何故か引き込まれてしまう本。
何かのインタビューで読んだけど、作者は「連続殺人」というテーマゆえに、
かなり悩んで葛藤しながらこの本を書いたらしい。
それだけ真剣に向き合って書いたってことが文章から伝わってくる。
たぶん二度と書けないんじゃないかってほど命を削って書かれた入魂の一作。
物語は三部構成で進みます。
被害者の遺族たち、犯人、そして、犯人を追うものたち。
それぞれのパートで、それぞれの立場からしか
明かされない事実が一つひとつ明らかになるにつれ、
物語の重層性が際立ってきます。
そして、人が殺される陰惨で、重たいテーマの本にもかかわらず、
この作品を読むと、一人ひとりの人間の人生の重さ、尊さみたいなものに
思いが致されるのです。
ちなみに、この本に出てくるジャーナリスト前畑滋子の後日譚
「楽園」という作品がいま、産経新聞で連載されてます。