…なぜならば。
自分だけは、我が家だけはひととは違う。
そう思って皆生きている。
殺される瞬間まで。
被害者側もなにか普通とは違うところがあったのだ、
だから私達とは別世界の問題、
私達は安心、
と思いたいのだ。
…そう言われたように感じたから。
「火車」の本間刑事的人物は登場せず、淡々と歩みを緩めずに非情な凶行が続いていく。
本間刑事は犯人の背景を描き出しつつ本人に迫っていく軌跡を描きましたが、
ここで犯人に迫る役割を得たライターは自らも物語の波に押し流され、浮き沈みしつつ終幕へ向けて動いていきます。
神の救いの手は存在せず、もがき苦しみ、それでも営々と生活を続けなければならない人々がいる。
そして、それは特別なことではない。
そんな読後感でした。
それでも星5つをつけたのは、エンタテイメントを超えて、宮部さんが犯罪小説をかく意味を聞いた気がするから。
自らの役目を全うしようと仕事に取り組む気迫のようなものを感じる作品でした。