DOMというと、CSSをコントロールし、リッチなサイトを作り上げる技術というイメージがあるが、その本質は、非同期通信による遷移をともなわない(いちいち「カシャッ」とリロードなどをしなくて済む)ストレスの少ないブラウザ上のデータ更新にこそあると思う。
そしてまたDOMは、断片的に学ぶのみでは、いつの間にか"?"の森のなかに迷い込み、立ちはだかるクロスブラウザの壁の前で右往左往することになってしまうほどに複雑なものでもある。
この書籍は、カラー写真を用いず、サンプルスクリプトもいたって地味な効果のものばかりであるが、必要にして十分なDOMの基本に関する記述がなされている。そのため、この本をこなした後に、他の写真のきらびやかなAjaxの本などを読んでも、混乱をきたすことなく、自分のDOMでそれが作り上げられるようになるはずである。
とくに、各ブラウザがどのようにDOMを設定しており、その結果どのような違いが生じるのか。という部分への詳述は大変有用であり、試行錯誤の時間を大幅に減らすことができるものである。ただし、他のレビューにもあるとおり、JavaScript、CSSの知識は前提であって、そこにはほとんど触れていないのでその点は注意されたい。またprototype.jsに関する記述もない。
また、私がこのレビューを書いている2008年11月において、firefoxは3.0.4。operaは9.62。IEは7のバージョンであり、出版当時から数度のアップグレードがなされているが、本書に紹介されているそれぞれのブラウザのDOMへの非対応、バグの類の記述はほぼそのとおり当てはまるため、クロスブラウザ対策としては幸か不幸か色あせた内容にはなっていないことも付け加えておきたい。また、サンプルスクリプトは出版社ではなく、著者本人のWebサイトで公開されている。