仙台藩主・伊達綱宗、幕府から不作法の儀により逼塞を申しつけられる。明くる夜、藩士四名が「上意討ち」を口にする者たちによって斬殺される。いわゆる「伊達騒動」の始まりである。その背後に存在する幕府老中・酒井雅楽頭と仙台藩主一族・伊達兵部とのあいだの六十二万石分与の密約。この密約にこめられた幕府の意図を見抜いた宿老・原田甲斐は、ただひとり、いかに闘い抜いたのか。
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21 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
20代に太宰治病にかかった人は、40代に山本周五郎病に罹る。,
By shinmiyanomoto (川崎市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 樅ノ木は残った (上) (新潮文庫) (文庫)
文芸評論家の奥野健男さんが、「若い頃、太宰治の文学に感動した人は、必ず中年になり山本周五郎の文学に感銘する。二人は単に物語が面白い文学者ではなく、自分の人生に深くかかわる、自分の人生を決定する力を持っている文学者である。」と書いていた。私も40歳。原田甲斐の自分の宿命に対する静かな諦観がこの小説の魅力。自分の行動が理解されなくてもかまわない。期待してはいけない。ただ、仙台62万石の存続のために自暴自棄に陥ることなく自分の生涯をささげる。このような生き方は苦しい。原田甲斐の子どもたちは切腹になった。それも原田甲斐の真の意図を理解せずにだ。こんなむなしい人生あるだろうか。お家取り潰しの萌芽が出たら、それを火消しすることに人生を尽くす。でも人々は理解してくれない。愚直な生き方。そしてさあ、あなたはどう生きると突きつける。長編だが、一気に読んでしまった。
13 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
すごいな、山本周五郎。,
By
レビュー対象商品: 樅ノ木は残った (上) (新潮文庫) (文庫)
時代小説といえば、司馬遼太郎のしか読んだことがなかった。随筆のような筆致で行間にたっぷり芳香を含んだような司馬遼の文章も大好きだが、山本周五郎の骨太の筆致というかがっしりした構成も魅力的。登場人物がみんな印象的な役割を演じつつクライマックスに収斂していくところなんて完全に徹夜覚悟。伊達六十万石を割ろうと次々に仕掛けられる策謀に立ちはだかる原田甲斐。たぶん史書には「伊達兵部と伊達安芸の政争」としか記されない事件を、裏返し、つむぎ直して重厚かつ壮大な物語を作り上げている。お腹にたまる小説です。
8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
3巻があっという間に・・・,
By ぐ - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 樅ノ木は残った (上) (新潮文庫) (文庫)
続きを読みたくてウズウズ・・・・・・3巻があっという間でした。登場人物たちの強い思いがじんじん伝わってきて、電車の中で読みふけりながら、なんど目を赤くしたことか。 主人公の原田甲斐が全面的に正しいとは思わないけれど、易きに屈せず黙々と信念を貫きとおす原田に心を打たれずにはいられません。なぜ原田はそこまで貫けるのか、と。なぜ自分はそうなれないのか、と。
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