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槍ヶ岳開山 (文春文庫)
 
 

槍ヶ岳開山 (文春文庫) [文庫]

新田 次郎
5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

文化10年、富山の百姓一揆にまきこまれ、過って妻のおはまを刺殺してしまった岩松は、国を捨てて出家した。罪の償いに厳しい修行をみずから求めた彼を絶え間なく襲うのは、おはまへの未練と煩悩であった。妻殺しの呵責に苦しみつつ、未踏の岩峰・槍ヶ岳初登攀に成功した修行僧・播隆の生きざまを雄渾に描く、長篇伝記小説。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

新田 次郎
明治45(1912)年長野県生れ。本名藤原寛人。無線電信講習所(現在電気通信大学)卒業。昭和31(1956)年「強力伝」にて第34回直木賞受賞。41年永年勤続した気象庁を退職。49年「武田信玄」などの作品により第8回吉川英治文学賞受賞。55年2月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 399ページ
  • 出版社: 文藝春秋; 新装版 (2010/03)
  • ISBN-10: 4167112388
  • ISBN-13: 978-4167112387
  • 発売日: 2010/03
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
 槍ヶ岳・笠ヶ岳ともに私が登ったことのある山。
播隆和尚の当時はもっと自然がいっぱいで素晴らしい景観だったろうなと想像力をふくらませて読みました。
 登った目的が単なる登山ではない、大きな信念を持った行動を起こすようになった和尚の過去・・・。
 いろいろな読み方ができると思います。
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By @poor work トップ500レビュアー
形式:文庫
松本駅前に銅像が建つ播隆上人。
本作は、その笠ヶ岳再興、槍ヶ岳開山の事跡を題材として取り上げた小説です。
播隆が山に賭けた想いの源泉を、著者である新田氏は、
若き日に自らの手で殺害してしまった妻への追懐であると設定しています。

現在山上に現れる円状の光輝と言えば、
多くの人が「ブロッケン現象」と説明することができますが、
かつて日本人はそれを仏の御来迎と捉えていた時代がありました。
作中の播隆もまた、笠ヶ岳の絶頂でそれを眼にします。
彼はそこに仏ではなく、かつての妻の姿を見出します。

「登山とは一心不乱になること。」
作中で播隆が口にする言葉です。
一心不乱に登り、雑念が消え去った研ぎ澄まされた瞬間に、人は何を見るか、感じられるか。
実際山に登った経験のある人の多くは、こんな心境に到達した記憶があるのではないでしょうか。
その眼で見たもの。
それが幻覚であるか、現実であるか、奇跡か、あるいはただの科学現象なのか。
そんなことはどうでもよく、ただそのココロに残ったもの、それが全て。
そこに救いがあるかも知れず、ないかも知れない。
作中で播隆が見たもの、感じたものもそのようなものではなかったでしょうか。

新田氏は山を舞台とした作品を数多く手がけつつ、
同時に組織のしがらみとの闘う人物を描く傾向があります。
本作でもその筆は健在で、俗世のしがらみとの狭間に立つ播隆の姿を映し出します。
桎梏を超えて、ただ一心不乱の無碍の境地の中に、救いはあるのか。
そしてその一心不乱の境地を得る場所、それが播隆にとっての山だったのか。

無論、本作の播隆像の多くは創作に違いありませんが、
彼が山に見たものは、新田氏の解釈の底にも流れているかと思います。
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