日本語で書かれたインドネシアの通史を読もうと思ったら、この本か、インドネシアの高校の歴史教科書を翻訳した「インドネシアの歴史 (世界の教科書シリーズ)」くらいしかない。中世から近代史までの記述と、現代史のうち経済史に属する部分に関しては良書だと思う。しかし、時代が下がるにつれて政治的立場からの主観が強く入り込んでいるのが難点。私には開発独裁体制や日本のODA援助をネガティブに捉えすぎているように思えた。とくに田中首相に対する「反日」デモの理解は表層的すぎる。
毒消しの意味で、白石隆「海の帝国」中公新書を併読することをお勧めする。というか、インドネシアの通史を把握しないでいきなり「海の帝国」を読むとチンプンカンプンな部分があるので、「海の帝国」を読むために、先にこの「概説インドネシア経済史」を読むというスタンスがお勧め。