まずピアノ協奏曲(協奏風交響曲)ですが、この曲は長い間楽譜が紛失していたため、伊福部さんは記憶を元に「シンフォニア・タプカーラ」「リトミカ・オスティナータ」の2曲を完成させました。もちろんこの3曲は全然別の曲ですが、メロディの一部が受け継がれたのです。しかし後の2曲と比べると、協奏風交響曲は少しだけ完成度が低いような気がします。もちろん伊福部さんの曲ですから悪くはないのですが、タプカーラやリトミカが素晴らしすぎるのです。ただ、この曲は現在このCDでしか聴けないため、ファンなら是非購入することをお勧めします。
次にヴァイオリン協奏曲第1番ですが、この曲は何種類かの演奏が出ています。第2番も演奏した小林武史による演奏が「協奏三題」に収録されていますが、この芸術5の演奏は、それに優るとも劣らぬ名演奏で、特にヴァイオリンに関しては小林以上と言って過言ではありません。この曲は後にゴジラなどで使われたモチーフがいくつか出てきますが、それとは関係なく、非常に美しく、迫力のある名曲です。現在、第1番と第2番のピアノリダクション版を収録したCDも発売されています。第2番について伊福部さんは「一個のヴァイオリンと云う楽器がもつ特性を、オーケストラとの対比にとって捉え、その協奏を通じて、吾々の血に隠されている感性を問いなおして見たいと考えました。……と云うのは、作品は民族の特殊性を通過して、共通の人間性に至達しなければならないと云うのが、作者の願いであるからに他なりません」と述べられていますが、第1番も同様だと思います。