予想したほどは面白くなかった。まず、著者が直接取材してインタビューしている人数が少なく、ほとんどフロントの一部の人だけにインタビューしてついでにデータをもらって書いているだけのように読める。三木谷氏は難しいのかもしれないが、楽天であれば、仙台のファン、コンテンツである選手や監督、地元のスポンサー企業、ライバル企業の同じ立場の担当者といった幅広い人にじっくり直接取材をした形跡がない。本書の趣旨からして、それぞれの取材の結果は数行で脇を飾るだけになるのかもしれないが、ビジネス面で野球を語るのであればなおさら、金を払っている消費者やスポンサー、サービスであるコンテンツを担う現場などの取材を丁寧にやっていないのは納得がいかない。田尾元監督の言葉すら、他の雑誌のインタビューからの引用という手抜きぶりである。さらに、タイトルにある読売巨人軍関係者へインタビューを試みた形跡も無い。
本書には、多くの数字が登場する。しかし、表になっているのは浦和レッズに関する1枚だけである。グラフはゼロ。ほとんどの人は小学校で習っているはずだが、変化や比較を見せるなら、表やグラフは重要だ。ところが、ほとんどの数字は単に箇条書きで並べてあるだけなので、わかりにくく、変化や違いを定量的に理解しずらい。さらに、本書には球場の設備の工夫についていろいろ言及があるが、それについての見取り図などの図はゼロ。楽天の本拠地球場は公園の一角で公園全体をディズニーランド球場をその中のシンデレラ城のようにしたいということだが、地図類はどこにもない。当然、本書には写真は1枚も載っていない。
一言でいうなら、せっかく良いアイデアなのに、お安くお手軽に作られている。着眼点がよいだけに、ノンフィクションとして見た場合の手抜きぶりが際立つ。