久しく読書をしていなかったが、知人にすすめられ宮部美由紀の最新作「楽園」を購入。
読み始めると、スラスラ進むといったことでもないが、結末が気になり下巻も購入。
特に「模倣犯」を読んでいない人でも、「楽園」はこれだけで完結するストーリーなので十分理解ができる。
超能力の話が話題になっているが、特に、小説に超能力を取り入れても取り入れなくても読み応えがあるならどちらでもかまわない。
他の方が書かれているように、読み進むうちに、作者自身が「模倣犯」の執筆以降、「模倣犯」の評価によりそれ以降本を書くことに悩み、困難を感じているとくことが主人公を通じ伝わってきた。
これは作者自身に限らず何か大きなトラウマを持った人特有の症状かもしれない。
自分の中での目標などをクリアしたり、予想以上の評価を得たりしたならば、それ以降、プレッシャーとなりより良いものができなかったり、またその反対に無気力となるのも当然かも。
しかし「模倣犯」の話もところどころ出てくるのだが、読んでいなくてもその不気味さが十分伝わってくる。
いずれしっかりこちらも全部読んでみたいという気持ちにされられるから不思議だ。
久しぶりの読書をして新しい手法だと思ったことは、本編の合間、合間で”断章”といった形で現れるもうひとつの読み物。
このストーリーは、上巻ではまったく別物だと思っていたが、下巻を読み進めるうちにだんだんと最後には、1つのストーリーとしてつながるのだということが分かり、印象に残った。
また、手紙形式でかかれる数ページは、文字体も手書き調の文字に変換され見た目にも印象に残る。新しい手法なのか?
最後に読後感は、可もなく不可もなく。
主人公含め女性が主体となっているため、女性や家族の視点で読めたのが楽しかった。
バツイチ子持ちの母親の気持ちや結婚後長く子供のいない夫婦の生活感や子供に恵まれたものの非行に走る手に負えないわが子に悩むまじめな夫婦などが登場する。「もし自分だったらどうするのか?」「自分の娘が非行に走り取り返しのつかないことをしたら?」現代日本においてどの家庭にも起こるかもしれない出来事。それぞれの立場を考える良いきっかけとなった。