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楽園の鳥 ―カルカッタ幻想曲―
 
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楽園の鳥 ―カルカッタ幻想曲― [単行本]

寮 美千子
5つ星のうち 3.3  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

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第33回(2005年) 泉鏡花文学賞受賞

出版社/著者からの内容紹介

【第33回[泉鏡花文学賞]受賞作!】
「インドやネパールを舞台にした心の旅が描かれ、深い哲学性を感じる作品。詩のような文体にほれ込んだ」(五木寛之氏)
たとえ仕事が成功しても、孤独な心は癒せない。消えた恋人を追って「世界の果て」へとさまよいでたミチカは、三十代半ばの作家。バンコク・カルカッタ・カトゥマンドゥ・ヒマラヤ山中、そしてベンガル湾。混沌の都市と美しい自然とを舞台に、いくつもの傷ついた心が交錯する。
ガンジスの源流から河口までを巡る魂の旅に救いはあるのか? 死ぬほど美しい大地を見下ろしながら、脚のない「楽園の鳥」は飛びつづける。

内容(「BOOK」データベースより)

仕事が成功しても、孤独な心は癒せない。消えた恋人を追い「世界の果て」へとさまよいでたミチカは、三十代の童話作家。バンコク・カルカッタ・カトゥマンドゥ・ヒマラヤ山中、そしてベンガル湾。混沌の都市と美しい自然を舞台に傷ついた心が交錯する。ガンジスの源流から河口までを巡る旅に救いはあるのか?死ぬほど美し大地を見下ろしながら、脚のない「楽園の鳥」は飛びつづける。ディープ・アジアを旅する恋愛冒険紀行小説。

内容(「MARC」データベースより)

荒ぶる魂に安息の日は訪れるのか。孤独なクリスマス・イヴをバーカウンターで過ごしていたミチカの前に忽然と天使の笑顔で現れ、「寒い」とひと言残して姿を消した男。彼を追い、ミチカはカルカッタへ…。夜の果ての旅の記録。

出版社からのコメント

童話作家として独自の世界を築いてきた寮美千子が送る、ディープ・アジアを旅する千二百枚の大長編小説。壮大にして壮絶な異郷遍歴ロマンスの誕生!

【書評「矛盾と非合理の感情の深淵を覗く思いが」】
 大著である。四百字原稿用紙にして1200枚といえば、平均的な小説の3冊分の量になる。だけど、それが苦にならない。それどころか、ひさしぶりに、思わず時間を忘れてページをめくる喜びを味わうことができる。これぞまさしく、小説を読む醍醐味。
 舞台はインドのカルカッタ。平均的日本人からすれば、一生訪れることはない、「異郷」の中の「異郷」である。暑さ、貧しさなどなど、プラスとは言えないイメージだけが膨らむ場所。怪しげな白人との恋とその破綻のために、この「異郷」の街でしばしの時を遇ごすことになってしまった30代の日本女性。冷静に考えれぱ、不良外国人にいいようにかもられているとしか言いようがないのだが、迷いながらも一途に、恋に生きてしまう女心。その描写こそが、この小説の最大の魅力だ。
 恋、というよりも執着と言った方がいいかもしれない。人が他者に対して抱く想いは、理性を超えた、不可思議なものだ。生活能力もなく、将来への展望もなく、さらには意味もなく暴力をふるう相手に執着しつづける愚かさには呆れるしかない。しかし、その愚かさ、危うさこそが、読者をひきつけ、この大著のページを繰らせ続けてしまうのである。
 世の中が、正しい理性と間違いのない計算だけで動くものならば、恋もなく、そして恋を描く小説も存在しないだろう。私たちが、恋を描く小説に惹きつけられ、心ゆさぶられ、夜のふけるのも忘れてページを繰り続けるのは、そもそも人が作る世の中が、矛盾と非合理な感情によって回っているからなのだろう。
 出会う誰もが、「私以外は誰も信用できない」と断言するカルカッタという街。この街のことを詳しく知ったのも、この小説のおかげだ。さまざまな魅力を持つ、豊かな小説世界へようこそ。
  椎名誠二,「公明新聞」2004年11月29日読書面掲載(筆者の了承を得て転載)

【書評「インドで彼女を待つものとは?」】
 離婚によって心に傷を負ったミチカは、かつてバーで出会ったニュージーランドの青年ディオンの<あそこに行くと、自分が生きてるって体中で感じられる>という言葉に引き寄せられ、共にカルカッタへ旅立つ。だが現地に着くと彼はミチカを忘れたようにビジネスと称して旧式バイクの買い付けに走る。ミチカは、<これ、おいしいね、おや、きょうは雨だね、と日々の些細な思いをやりとりしたい。ただそれだけのことなのに。/それだけのことを手に入れるのが、どうしてこんなにもむずかしいのだろう>と嘆くが……。アジアを舞台に自分の存在理由を探す旅を続ける女性を描く長編。
  「週刊ポスト」2004年12月17日号p.178「話題の新刊はこれだ!」掲載(編集部の了承を得て転載)

著者からのコメント

見知らぬ土地に憧れ、その土地を自分の目で確かめたくて訪れる旅と、そうではなく、運命に翻弄され、押し流されるように、否応なしにそこへ運ばれてしまう旅がある。わたしにとってのインドは、紛れもなく後者だった。美も醜も、善も悪も、すべてが容易に逆転してしまう混沌の大地。誰が正気で、誰が狂気なのか、それさえわからなくなりそうだった。『楽園の鳥』は、そんな旅の軌跡を描いた小説だ。虚実入り交じりながらも、舞台となる場所はすべて、実際にわたしが歩いた土地。カルカッタの雑踏から、ヒマラヤの氷河の谷の淵まで、書くことで、わたしは自分自身の旅を追体験した。そして知ったのだ。あの旅がまだ終わっていないことを。2004年3月にインドを再訪。ガンジス河口の砂州にある聖地からベンガル湾を望むことで、わたしは十年越しの旅を、やっと終えることができた。そこに見えてきた光は……。主人公ミチカとともに、ぜひアジアの大地を旅してください。

カバーの折り返し

その鳥には脚がない。だから、いつも羽ばたいていなければならない。
眠るのも空の上。ほかの鳥たちが翼をたたみ、樹木に抱かれて眠る時、
その鳥は風に翼を広げ、風のなかで眠る。

「かくも華麗に夢見られた地獄というものが、あっただろうか。これは香り高き南国の花に飾られた、夜の果ての旅の記録である。」――四方田犬彦

著者について

寮 美千子
東京生まれ。外務省、広告制作会社勤務、フリーのコピーライターを経て、1986年、毎日童話新人賞受賞、童話作家としてデビュー。1991-97年、衛星放送ラジオ局「セント・ギガ」に約四百篇の詩を提供。1992年、ACCの助成を受けアメリカ訪問、NASA及び先住民居留地を取材。同年、野辺山宇宙電波観測所十周年記念絵本『ほしがうたっている』(思索社)を制作。1997-98年、科学技術庁「宇宙開発委員会」専門委員。2004年、西はりま天文台2メートル望遠鏡完成記念絵本『遠くをみたい』を制作。また、財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構の助成を受け、絵本『イオマンテ』を制作中。『楽園の鳥―カルカッタ幻想曲』が大人向けの最初の小説となる。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

寮 美千子
東京生まれ。外務省、広告制作会社勤務、フリーのコピーライターを経て、1986年、毎日童話新人賞受賞、童話作家としてデビュー。1991~97年、衛星放送ラジオ局「セント・ギガ」に約四百篇の詩を提供。1992年、ACCの助成を受けアメリカ訪問、NASA及び先住民居留地を取材。同年、野辺山宇宙電波観測所十周年記念絵本『ほしがうたっている』(思索社)を制作。1997~98年、科学技術庁「宇宙開発委員会」専門委員。2004年、西はりま天文台2メートル望遠鏡完成記念絵本『遠くをみたい』を制作。また、財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構の助成を受け、絵本『イオマンテ』を制作中。『楽園の鳥―カルカッタ幻想曲』が大人向けの最初の小説となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

抜粋

 序章より

 夢を見ていたのかもしれない。夢の大気は水よりも濃く、ねっとりと粘りついて、肌にまつわりついてくる。動きは緩慢になり、起きている時間と眠っている時間の区別もつかない。
 眠りが浅ければ、覚醒もまた浅い。そのあわいは溶け、夢と現実との境目が不確かになる。 けれども、ずっとこんなふうだったわけではない。もっと遠い時間、子どもの頃には、何かが違っていた。大気は澄んで、すべてはくっきりとその輪郭を輝かせていた。
 いつからだろうか、風景がこんなにもひどく歪みはじめたのは。

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