初めに書いておくと、これは良書です。
本来、入門書の役割とは、
・全体像を俯瞰させること
・すべきことを具体的に示すこと
・専門書(あるいは洋書)を読めるようにすること
の3つでしょう。
その意味で、現状日本で出版されているジャズピアノ入門書の中では、
頭ひとつ出ているといってよさそうです。
今までいくつか本を買ってみたが、分からない、どうにも道が開けない、
といった人には特にお勧めしたい本です。
(もちろん、初めの一冊にも最適です)
ピアニストの本音に基づいて、
意味を追いながらひととおりのトピックを網羅するスタイルです。
この丁寧さで、かつ網羅性のある情報源はなかなかありません。
ただ多少、入門書としては飛ばしすぎな部分があります。
特に、コードの構成音の説明の次がいきなりジャズボイシングというのは、
現実的にはちょっと厳しいのではないでしょうか。
まずは基本三和音を弾きこむことが必要と感じます。
別に多くのページを割く必要もないことですから、一言あるとよかった。
よって、やはりある程度は、自分の頭で考えることが必要です。
加えて、課題が目を眩ませます。
12キーで譜例網羅というのは、あれば将来的には役に立つかもしれませんが、
入門段階で掲載譜例を全てやろうとすると挫折しそうです。
1巻中盤までの課題(単体コード練習)だけをじっくり時間をかけてやりつつ、
解説部だけをどんどん読み進めていくというのがいいと思います。
また、文体はかなり自由で、好みは分かれるでしょう。
「自由なイメージを持って」というようなことを度々書いている割には、
筆者の個人的なイメージやら思想やらが強すぎて逆に押し付けがましく感じることも。
個人的には、もう少し淡々とした本にしてほしかった。
そんなわけで、星4つとしました。