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当時オウムが所有していたロシア製のヘリコプターで、大量のサリンを撒かれるのではないか。高性能のラジコンヘリも所有しているらしい。地下に潜ったテロリストたちによる第2、第3の攻撃があるのではないか、等々。当局が恐れた最悪のシナリオは、幸いにも杞憂に終わった。
この事件が起こった時点では、警察はかなりの証拠をつかんでいた。事実この事件の2日後の3月22日には強制捜査が予定されており、不幸にも先を越されてしまったわけだ。
地下鉄サリン事件捜査のこれ以後の捜査状況を見ると、日本の警察の情報収集及び捜査能力はかなり信頼できるような印象を受ける。事実、本書に描かれた、捜査関係者の努力には頭が下がる。
しかし、もともとこの事件は防げたのではないか。(以下は本書の内容からはやや外れるが)
前年の6月27日、松本サリン事件が起きている。この事件では、第1通報者である会社員K氏が、容疑者として浮上した。
ところが、6日後の7月3日、警察はこの毒物がサリンであることを発表している。
サリンは大量破壊兵器に属するような代物であって、一会社員が庭先で簡単に調合できるようなものではない上、しかも、松本の被害状況を見てみれば、相当量のサリンが散布されたことは明らかである。この時点でK氏はほとんどシロである。
しかし警察は、その後も執拗にK氏を犯人扱いし、その未成年の子息に対しても違法な聴取を続けている。始めにK氏犯人説ありきで、その可能性に対して科学的考察を全く加えていない。警察がK氏犯人説に固執したがために、真相究明が遅れたのは間違いない。
当初、K氏は「調合を間違えた」と救急隊員に言った、という報道もなされた。後にこれは全くの捏造であったことが証言により明らかになっている。警察が意図的にリークした情報に乗ったと言う点でマスコミも同罪である。これらのことを総合すると、冤罪を生む警察の体質は一向に改善されていないのではないか。
一方、実際に標的になった裁判官宿舎は、被害がなかったという理由もあっただろうが、全く注目されていない。この事件の背景に政治的な意図があったのではないか、ということに思いを致す捜査員がいたら、捜査は正しい方向に向かったのではないか。
地下鉄サリン事件の捜査にしても、本書で詳しく書かれているように、滋賀県内で、天恵のように発見された光ディスクの情報に多くを負っていることを考えると、日本の警察の能力は本当に大丈夫かという思いにかられてしまう。
この3冊で1995年3月20日に「誰によって、何が、どこで、どのように、何の目的において行われたか」の概要が理解できる。凡百の解説書よりも役に立つはず。
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