海堂作品が好きで、これまで刊行されたほとんどの作品を読んできました。
バチスタシリーズの主人公たちを中心にして、徐々に拡大していく人物相関図を追いかけながら
ここまでついてきましたが、この作品を読んでちょっと立ち止まってしまいました。
あまりにも広げすぎた風呂敷状態の人物相関図となってしまい、どうやってたたむのか(収拾する)
のか不安になるとともに、作品自体の濃度がどんどん薄くなってきているようで残念です。
ジェネラル・ルージュ速水も隣町の救急センターにいるようですが、一度だけ救急患者移送について
やりとりがあるだけですし、医療事故で告訴される三枝医師が「マドンナ・ヴェルデ」のマリア・
クリニックの院長先生の息子で清川教授と学友であることがわかりますが、それはサイドストリーに
すぎません。
海堂作品にとっての新参者の主人公をオールスターキャストで固めたのはいいのですが、主体性のない
主人公に魅力がなく、過疎地医療問題あり、医療過誤問題あり、研修医制度問題ありで小説そのものの
テーマが絞り込めてないため、読了後にきつねにつままれたような気がしました。
「イノセント・ゲリラの祝祭」あたりから中途半端な終わり方の小説スタイルに変わってきているよう
です。「...つづく」よりもひとつの作品が「完」で終わる小説を読みたい私としては、読了時の満足感
が著しく不足する作品でした。