表題作「半魚人(65年・全90ページ)」はいわゆる終末SFホラーで、初期の傑作です。主人公の兄は将来世界が海に沈むことを本能で感じ取り、鋭い牙が生え体がウロコに覆われるなど魚の化け物に変貌してしまう。さらには精神まで崩壊し、彼は弟の友人を捕え、水中生活に適応できる体に改造すべく恐怖の実験を繰り返す…
絵柄はまだ漫画的でリアルではないのですが、麻酔なしでナイフで無理やり口を引き裂くシーンなどは、当時の少年たちの心に強烈なトラウマを植え付けました。
「恐怖の首なし人間(66年・全42ページ)」は「楳図かずお画業55th記念〜・復讐鬼人」に収録されている「首なし男」の改題作品です。マッドサイエンティスト・ホラー漫画で、なかなかの良作だと思います。ラストで五郎少年が危機一髪、島から脱出するシーンに大幅な加筆があり、「首なし男」とは読了後の余韻が全然違います。
「ひびわれ人間・楳図かずおのフランケン(66年・全100ページ)」はタイトル通りのフランケンシュタインもので、とても悲劇的なお話です。出来は普通。主に陰影等が補筆で強化され、初出(「楳図かずお画業55th〜へび少女」収録)より絵の迫力がアップ。一枚絵やコマの追加も。
この巻収録の3作は、どれもほぼ同時期に少年マガジンに連載された作品なので、絵柄やテイストに統一感があります。「半魚人」「紅グモ」のカップリングの「楳図かずお画業55th〜・半魚人」よりも、こっちのほうが内容は濃いかな。
「半魚人」
「ひびわれ人間・楳図かずおのフランケン」
「恐怖の首なし人間」