原作抜きにすれば作品としては良くできている、と言いたいところなんですが、私には馴染めませんでした。
昨今のアニメについては、完全な2D(所謂セルアニメ、デジタル含む)、3Dリアル系、3Dアニメ系、それぞれの融合、といった区分けができるかと思いますが、本作品は3Dライブアニメ(モーションキャプチャー+トゥーンレンダリング)の手法を使っています。これは個人的にはまだ完成にはほど遠い映像表現だと思っています。制作者の意気込みはわかるのですが、視聴者にとっては不自然さが目立ち感情移入がしにくいのです。技術的な面白さは感じますが、一つの作品としての評価は別物です。
まず言えるのは、キャラクターの弱さ。次に感情表現が(演出のせいなのか3Dライブアニメのせいか両方か)薄っぺらに感じられる点。要するに説得力に欠けるというのが正直な感想です。(キャラクターが星野さんの原作とは似ても似つかないという点もマイナスです。)
実写の映画には長い歴史があり、またアニメーションにも歴史がありますので、新しい表現が受け入れられないのは当然なのかもしれませんが、人間の心情は体験から多くの影響を受けますので不自然に感じるのは仕方がありません。(アニメは絵の動きが少なく平面的な分、声優の表現力にも多くを頼っていますが、これは多くの人に受け入れられています。)
人間ドラマ的なところに重点を置くのであれば、感情移入ができないのは致命的です。将来的にはこのような作品が増えて、あたりまえになるのかもしれませんが、顔(表情)に力を入れていると思われるにも関わらず、気持ちが悪い、表情が死んでいる、と感じてしまうのはなぜでしょうか。
宮崎駿、大友克洋が培ってきたアニメーションの表現力というものは何だったのか。実写とモーションキャプチャーによるCGキャラクターの融合がすばらしいと思えた指輪物語は視聴者にどう受け入れられたのか。いろいろと考えてしまいました。