道理すら曲げてしまう「身分」というものの不条理を知る、下級武士の子。
生きることの切なさを清冽な筆で描ききる表題作など含む全4編。
■「ゆすらうめ」:
6年の年季を終え再び色茶屋に戻らぬように心を砕く番頭。しかし、家の為に堅気の世界からまた戻ってきてしまったおたか。喜んだのも束の間、真に美しいおたかに涙・・
■「白い月」:
賭博好きのぐうたら亭主と別れることの出来ないおとよの愛憎。
どこかで読んだことがあり様な内容だった。
■「花の顔」:
老人介護問題は、今も昔も大変です。
■「椿 山」:
さすがに表題作、力のある作品でした。
下級武士の子として理不尽を味わい、出世に賭ける覚悟をした青年。家族にも心を閉ざし、孤独に生き、手段を選ばず藩政の中枢にまで登り詰める。が、最後思い切り泣かせてくれる。
「何と申されました?」 この言葉には、涙・涙・涙・・・
子供のころの無二の親友、その百姓の親友に憧れの女性を奪い取られ絶縁していた。が、最後は二人の為に死を覚悟で剣を抜く。
これは良い小説です