◎流言やデマはどのように生まれ、どのように広がるのか?
真偽を確認するにはどうすればいいのか?
そのメカニズムを解説し、ダマされない・広めない基礎知識を伝授。
【表2】
◎有害物質の雨が降る?
◎被災地で外国人犯罪が増えている?
◎あの政治家がこんな失言をした?
◎関西電力の節電呼びかけチェーンメール
◎放射性物質にヒマワリが効く?
◎トルコが日本に一〇〇億円の援助?
◎ヨウ素入りのうがい薬は放射性物質に効く?
◎天皇陛下が京都に逃げた?
◎日本では物資の空中投下が認められていない?
◎避難した被災地の子どもには教科書が配布されない?
----なぜデマが広まるのか? デマはなぜダメなのか? デマを防ぐには?
【著者紹介】
荻上チキ(おぎうえちき)
1981年生まれ。評論家・編集者。芹沢一也、飯田泰之とともに株式会社シノドスを設立。メールマガジン「αSYNODOS」編集長。最近の著書に『ネットいじめ』(PHP新書)、『社会的な身体』(講談社現代新書)、『いじめの直し方』(共著、朝日新聞出版)、『ダメ情報の見分け方』(共著、生活人新書)、『セックスメディア30年史』(ちくま新書)、編著に『日本を変える「知」』『経済成長って何で必要なんだろう?』『日本思想という病』(以上、光文社SYNODOS READINGS)、『日本経済復活 一番かんたんな方法』(光文社新書)などがある。
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最も参考になったカスタマーレビュー
36 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ワクチンと検証屋,
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レビュー対象商品: 検証 東日本大震災の流言・デマ (光文社新書) (新書)
いつの時代においても、災害と流言・デマは密接な関係にある。事実、関東大震災の時にも「朝鮮人が井戸に毒を入れた」という流言が広がり、多くの人々が殺されたという歴史が残されている。しかし、今回の東日本大震災の流言・デマは、情報技術が浸透して以降に起こったいう点に大きな違いがある。それゆえ、災害流言の拡散速度や規模が、これまでとは比較にならない大きなレベルのものであったのだ。本書は今回の東日本大震災における流言やデマの実例を取り上げ、その対処法をまとめた一冊。流言やデマがなぜ起きるかというメカニズムに着目するのではなく、必ずデマは起きるということを前提に、その影響を最小化することを目的として書かれている点が、最大の特徴である。 ◆本書の目次 序章 なぜ、今、流言研究か 1章 注意喚起として広まる流言・デマ 2章 救援を促すための流言・デマ 3章 救援を誇張する流言・デマ 4章 流言・デマの悪影響を最小化するために 厳密には、デマと流言は違うものであるそうだ。デマには何某かの意図があるのだが、流言にはそれがないのである。そういった意味で、本書で紹介されている事例には圧倒的に流言が多い。いったい何を狙いとしているのか、皆目見当のつかないものがあまりにも多いのだ。 ◆本書で紹介されている今回の震災における流言・デマの一例 ・有害物質の雨が降る? ・放射性物質にヒマワリが効く? ・トルコが日本に100億円の寄付? ・ヨウ素入りのうがい薬は放射性物質に効く? ・日本では物資の空中投下が認められていない? 流言・デマの最大の罪は、救命のためのチャンスロス(機会損失)を生むということにある。しかも、善意に基づく人をも、その悪事に加担させるという点で、罪は大きい。その被害を最小限におさえるものとして本書で紹介されているのが、「流言ワクチン」という考え方だ。 流言やデマについては、時代や国が変わっても、そのパターンにあまり変化のないことが分かっているという。それゆえ、あらかじめ過去の事例を知っておくということが、いざそれらに直面した時に既視感を抱きやすくするという対処法につながる。このワクチンの役割として、本書ではさまざまな事例が紹介されている。 もう一点興味深いのは、「検証屋」と呼ばれる人たちに関する論考である。流言が広がる過程において「うわさ屋」が存在する一方で、中和情報を対抗して流す「検証屋」としての役割を担う人たちも登場し、今回の震災でもその活躍は目立っていた。その際に、最も注意すべきなのは、常に検証屋であり続ける人はいないという事実を正しく認識することにある。ここを間違える人達が、「検証屋」に過剰な期待や偏見を抱き、やがて攻撃を仕掛け始めるという事態を引き起こすのだ。 「検証屋」にも得意、不得意があり、特定の分野に関しては能力を発揮できたとしても、それ以外に関しては不得意な可能性もある。そのバイアスを、情報の受け取り手がきちんと把握できるかどうか。情報の流れの多様化は、同時にリテラシーの多様化も求めるということなのである。
5つ星のうち 4.0
広まらなけりゃ流言・デマとは言わんからなぁ。,
By bitter sweet symphony (千葉県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 検証 東日本大震災の流言・デマ (光文社新書) (新書)
著者は1981年生まれの批評家・編集者・ブロガー。初版発行が2011年の5月というかなり早い時期に出ていたもので、その時は内容的にちと時期尚早ではないかと判断して見送ったが著者がEテレ「ニッポンのジレンマ」のパネラーのひとりだったので読んでみることに。当初書名だけで自分がイメージしていたのは、流布していた流言・デマを網羅してこんな阿呆な情報がたくさん出回っているんだ的な内容でしたがそういうものでは全くなく、比較的よく知られたそれをピックアップして流言・デマが流布するメカニズムやそれが打ち消されていくプロセス、それらを視野に入れた上で、メディア・リテラシーと流言・デマを減らしていくシステムの必要性を語るというもの。リテラシーが必要なひとたち(絶対多数の善良で悪意のない層と悪意のあるごく少数の層)はこの手の情報に触れることが少ない(か知らん振りする)というのは辛いところではありますね。
15 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「うわさ」が人の命を左右する,
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レビュー対象商品: 検証 東日本大震災の流言・デマ (光文社新書) (新書)
流言、デマの研究においては、古くは本書でも紹介されている『デマの心理学』や『流言蜚語』など名著が多い。また、エドガール・モランの『オルレアンのうわさ』(忽然と女性客の消えるブティック)や、野村純一の「口裂け女」研究など、都市伝説に関する研究もなされてきた。 本書は、その「流言」「デマ」研究の系譜に連なるものである。 3月11日の東日本大震災後には、さまざまな噂が飛び交った。本書でも紹介されている「コスモ石油爆発による有害物質の雨」「東京電力を装った男」「放射性物質にはイソジンが効く」などなど。 どれも、最初に情報を発信した人は善意で注意喚起を促すのだろうが、あの情報が少ない環境の中で注意喚起の情報を受け取った人は、必要以上に警戒することになる。 必要以上の警戒、緊張状態が長く続くと、人は想像以上に疲弊する。そして、善意による行動が最悪の結果をもたらすこともあり得る。 私は茨城県の県北、北茨城市に住んでいます。そこで地震に遭い、一週間近く停電と断水の中にいたので、断片的に伝わってくる注意喚起の情報(数時間後に大きな地震が来るなど)を聞いても為す術がなく、ただ不安を煽られるだけでした。 平時なら、心配するのに越したことはないと注意喚起の情報に積極的に耳を傾けていたでしょう。しかし、あの状況ではただ精神をすり減らし、本当に必要なときに行動できないと思い、途中から意識的に情報をシャットダウンし、必要最小限の情報で暮らしていました。 「北茨城市で赤ちゃん餓死」などという流言があったことは知りませんでしたが、茨城が被災地であることを無視するような扱われ方が多々あったので、その流言を流した人の気持ちは理解できます。 しかし、誇張は誤解を生み、非常時において誤解は人の命を脅かしかねない。 また、命を脅かさないまでも、注意喚起に対して逐一対応していくことで体力が削られ、いざ本当の危機が起こった際に行動できない恐れがある。もしくは「オオカミ少年」のように、いざというときにどれが本物の信頼できる情報かが分からなくなってしまう危険がある。 情報を発信する人と、受け取る人。そのどちらにもある程度の知識、リテラシーが求められる時代になった。 リテラシーは一朝一夕で身に付くものではないが、本書で言うように「歴史に学ぶ」こと、「流言やデマの基本パターンを知っておくことで」「既視感を抱きやすくしておくこと」は、即効性のあるワクチンであるように思う。 インターネットにより情報が広まる速さは格段に速くなったが、その情報がデマだと分かったときに収束するスピードも格段に速くなっている。 この本により「ワクチン」を得た人々が「検証屋」となっていくことで、デマや流言の収束スピードが一層速まっていくことを望む。 図など細かい構成に不満は残るものの、震災から2ヶ月という短期間で、これだけ多くのうわさを検証した本が出版されたことに素直に敬意を表する。 それとともに、平時にはほとんど役に立たない「批評家」「ブロガー」が、「社会学」をまさに生きた「実学」に引き上げ、多くの人々の命を救う可能性があることに尊敬と感謝の意を示したい。
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