登録情報
|
それはそれとしても、日韓会談について大体のおさらいは出来たが、イッシューは本書で多くの部分が費やされている請求権、在日韓国人の法的地位、漁業権であった。
請求権の点であるが、交渉の途上で、日本側が対国家補償ではなく個人ベースでの補償を行おうとしたが、韓国側は一括した国家補償を要求し、それが妥結に結びついたと言う点は重要である。つまり、国家レベルでの補償は、韓国側の要求であったのだ。
それならば、本書??末尾で触れられている日本からの援助金の韓国政府の分配の問題が最も大きな問題となるにもかかわらず(それへの裁判もあるようだが)、日本への批判に修練する最近の傾向は荒唐無稽である。国家単位の補償で妥結しておきながら、後になって個人補償などと言うのは問題の文脈を理解していないと言うことになる。
そしてそこには、主体的に妥結した韓国政府側の「主体性」を認めないと言う点に、鄭大均のいう「依然コントロールできるという感覚」の反映を著者にも見ることがでよう。また、それが「主体的」でなかったということには反対運動をその反証としているが、これは一部の学生が中心であって、説得力を欠くものであろう。左翼知識人のとんでもない前提である。世論調査等を本来は参考にすべきである。!
また、期待していた在日韓国人の法的地位の交渉の詳細についてはあまり触れられていなかった。本来は交渉自体が早期妥結するとして「在留資格を有することなく」であったのだが、本来的に国内政策であるはずの分野に外交要素が如実に反映された悪例といえるだろう。
「サヨク」レッテル張りして門前払いするのは簡単だが、まず事実を確認するという意味で必読。その事実を受けて導き出した氏の考えに異論があればそこは批判すればいいだけである。ネットで声高に叫ばれてる主張の根拠となる事実で、本書に書かれていないものは管見の範囲では見当たらない。その一方で、日韓会談・日韓条約について正確に書かれたネットの記事もまた、管見の範囲で見当たらない。
繰り返すが、まず事実関係の確認が第一である。日韓条約は戦後日韓関係の文字通り「基本」であり、そこに至る日韓会談をまとめた本書は、コストパフォーマンスからしても、戦後日韓関係史を学ぶ上で基本となる書であるといえる。日韓関係に関心のある人は、とにかくまず読んでほしい。