八面六臂の活躍をしている郷原氏が現在の刑事司法にまつわる話題を幅広く分かりやすく説明した良い読み物.全部で六つある章が別個の話題に関するものになっていて,各話題については物足りなさもあるが,このページ数と値段ではしかたなかろう.
1章と6章は著者の検事としてのキャリアの最初と最後の体験談.「何で著者のような偏り無く優秀な人が検事に?」という疑問が氷解する.
2章から4章では検察とはどういう組織か,本来はどうあるべき組織かが述べられている.冤罪作りのプロセスとか,民間人がやったら有罪確実なことを取調室で検事がやっていることとか.ライブドア事件や西松献金事件の主犯は堀江や小沢ではなくって東京地検特捜部であると理解できる内容とか.想像はしていたものの,元検事の言葉ではっきりと書かれると衝撃的です.定めた目標を決して修正せず暴走するという東京地検特捜部の体質が,僕の中ではサリン事件当時の某カルト宗教の幹部とかぶる.
5章は司法制度の話であり,他の章とは趣きが異なって堅めのお勉強ができる.最近になって検察の体質や犯罪が表沙汰になることが増えた制度面からの理由が少しわかりました.