大変めでたいことに『絶対可憐チルドレン』が順調な椎名 高志の短編集。
本人も短編が好きだと公言し、その作品にも定評がある作者にふさわしく手堅くも高品質な仕上がりとなっています。
『GS美神』番外編にしてホームズパスティーシュの「GSホームズ極楽大作戦!! 血を吸う探偵」(『椎名百貨店超GSホームズ極楽大作戦!!』収録作の続編になります)。
典型的な押しかけ女房モノの(昔風な)正当派少年誌コメディ「パンドラ(全3編)」
インチキ系時代劇、悲恋風味の「蜘蛛巣姫」。
と、コメディの骨格に人情話的なテイストで「泣かせ」の要素をもりこむ作劇は抜群の安定感を誇っています。
これら水準以上の収録作と比べてもとびぬけて良いのが「TIME SLIPPING BEAUTY(前後編)」。
時間SF的なネタを使って、〈限られた力で人を救うこと〉の哀しみをたくみに表現しながら、ミステリ的なサプライズをおりこみつつ物語が美しく収束するプロットがお見事です。
〈無駄がない〉という点で実に短編らしいスタイリッシュさに満ちていて、「よくできた短編」が慢性的に不足するコミックの世界で貴重であると同時に、職人的な構成力の高さという椎名高志の資質をダイレクトに感じとれる1編になっています。