本書は植物に関する既成概念を覆す様々な研究者や、多岐にわたる農業技法の実践による植物-土壌という生態系へのアプローチをテーマとしている。
その内容はA・シモネトンの食物の波動レベルによる分類やルイ・ケルヴランの生物学的元素転換、P・バランジェ博士の研究やルドルフ・シュタイナーのバイオ・ダイナミック農法などの比較的認知されてきている研究から植物のもつ超能力や超科学的な話題まで、枚挙にいとまがない。
翻訳は丁寧で読みやすく、その意味では稀有な労作だと思うが、なにぶんにも取り扱われているテーマが広範であり、統一的な全体像が見えてこない。
たとえばシモネトンの著作にはケルヴランが序文を寄稿しているのだが、そういった個々の研究テーマの関連性については深く掘り下げられておらず、統一的な全体像が見えてこないのである。
シュタイナーならシュタイナー、ケルヴランならケルヴランで、その研究の沿革を踏まえた一つの軸として構成されるべきところが欠けている点は残念としか言いようがない。
もっともこの点を差し引いても労作であることに変わりはなく、より専門的な研究のための入門書としては貴重な一冊であろう。