好きなものを徹底して描く、描く、描く・・・
この作品はまさに森薫劇場、あるいは森薫による森薫のための同人誌とも言える。
これまでの未収録作品や未公開作品が見れるということで、読者にとって資料的価値高いが、
それと同時に「私と森薫」という視点も想起させる。
かつて私はエマを初めて読み終え、心地よい読了感のままあとがきに突入したものの、
そこでの異様なハイテンションに、「このおっさん大丈夫かよ・・・」と、素直な感想を抱いた。
そしてサイン会に参加し、気品ある女性が森薫作品らしき絵を描いていることに衝撃を受けた。
「見た目は女性、中身はおっさん」と某バーロー並のギャップを持つ人間、それが森薫だ。
そんな作者から紡ぎ出される作品の素晴らしさたるや、今更語るまでもない。
森薫作品で作者の全力が見えない作品はない。
ああこの人これが好きなんだな、描きたかったんだなという熱意がバシバシ伝わる。
そういうポイントで本作品も見ていけば、作者の変態振りにきっとほくそ笑むことうけあい。
例えば70ページの「カバー・ストーリー」を見ると、確実に症状は悪化していると嬉しくなる。
筆に熱意はのるものであると改めて認識させ、ある種の清々しさすら覚える。
作者が楽しいと読者も楽しい。だから森薫作品が好きなのだ。
世の中にはいろんな傑作の拾遺集があるが、やはりこれも傑作であった。
いつものあとがきに加え、まえがき、なかがきも必見。