1960年代の国際生物学事業計画(IBP)以来、様々な視点で森林の生態学が展開されてきましたが、本書は、そうした森林生態学を長年研究してきた藤森氏の集大成と呼んでも良い大著です。通常、これほどの大著は複数の執筆者により構成され視点がぼやけてしまうこともありますが、本書は、藤森氏の一貫した森林への想いが骨となって貫かれており、その論理の展開や構成は賞賛に値します。
日本の林業の変化(木材生産から環境多様性の維持へ)や担い手のいなくなってしまっている地域の林の管理についても高い見識を示し、現代の森林生態系における生物多様性の維持、保全の考え方を教えてくれます。
「持続可能な管理の基礎」と言う副題が示すように森林生態学を学ぶ方だけでなく、地域の森林の保全管理を担うNPO法人や行政、市民ボランティアの皆さんにもぜひ一読していただきたい良書です。