現在であれば、デパ地下や飲食店でおなじみの、どうってことない食材がまだ珍しかったころのお菓子を中心としたフランス現地での食の探求談。
どこの国でも、庶民の家庭の味が一番おいしくて代表的であるという著者のアプローチには大変共感できる。
貝原益軒の“養生訓”の一節、『…腸胃よはく…中華、朝鮮の人は、脾胃つよし。飯多く食し、六蓄の肉を多く食つても害なし。日本の人は是にことなり、多く穀肉を食すれば、やぶられやすし。是日本人の異国の人より体気(たいき)よはき故也。』を思い出す。(原理主義的にこれに従うのはおかしいと思うが、今日でも食の目安として参考にはなるのでは。)
ただ、日本人の胃腸も強く変化している事はまちがいない。
フランス近辺の料理もヌーベルキュイジーヌ以降変わって来たのか、森村さんがパリへ行った時代のものよりは、あっさりな方向へと変化している。
日本もほんのウン十年であっというまに物と情報があふれてきたことを実感、こんなに世間は変わったんだんだなーと感慨深い。
でも、ここで著者が述べている、日本人の精神性には情報量や物量ほどの変化がないんだということも実感。