最初に明記する。山中ヒコだが、非BL!
名門大学男子寮を舞台にしたオムニバス。
タイプの異なる男子たちの心が動く瞬間を切りとった、青春群像劇。
最近の漫画は、まず初っ端から『僕の名前は○○』『大学○年生』等、うざいほど自己紹介から始まる。
が、山中ヒコはそれをしない。
そのため読者は、文中から登場人物の名前、立場、境遇、状況等、自分で読み解く必要がある。
それは不親切だが、より深く作品世界に入る助けになっているように思う。
知りたい、もっと知りたい、読み取っていない情報はないか、伏線は?
・・・そう読者に思わせ、それによって読者は作品世界に入り込んでしまう。
これは作品にどっぷりとひたって楽しめる幸福な時間なのでは。
オムニバスであるため、主人公は各話変わる。
時間も流れているため、脇役として再登場する人物の髪型やメガネ有無等、外見も変わる。
それをまた追いかけるのも、読み手の楽しみか。
各話、印象的なエピソードがあり、ラストにかけてのスピード感、翻る印象・・・ドラマチックだ。
が、なんだろう、山中ヒコのBL作品に見られた震えるような切なさ、は弱い。
別に男同士のエ○がないと切なくならない訳ではないのだが、
多分各話の「ヒーローとヒロインの関係がやっと面と向かった。これから始まる!」という瞬間に
ラストを迎えていて、 さらに突っ込んだところまで話が書かれていないから?
それが少しものたりなく感じさせるのか。
でも作家買いは続ける。確実に今年一番光っている作家の一人なので(自分調べ)。