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結論から書くと、宮本作品で初めて読むのがおっくうに感じた作品となりました。私なりに分析すると、
1話の軸がはっきりしていない。宮本作品の肝は、主人公と対役の心の葛藤だと思う。夫の不貞から遺産相続、被災した少女たちとの共同生活等話題が展開し、それに伴って対役もめまぐるしく変わるので、主人公との濃い人間関係が描かれていない。
2作品のキーワードとして巨木があるようだが、そのために話全体がぼやけてしまっている。
3陶器の解説文の引用や平家物語の引用、少女たちのたわいもない会話など、なかなか話題の核心に進めず、もどかしい。
宮本作品のコメントの中に、「売るための作品」「中身がない」等を見ましたが、初めてそのコメントに同感せざるを得ない作品でした。でも、宮本輝、大好きです。
冒頭に記した作品はお薦めできます。
最近思うことは、幸福とは何かの条件を満たすことじゃない。
豪邸、高級車、高収入、またはそれらの持ち主と結婚すること、
子供が何人いて、等々の条件を満たすことじゃないと。頭で
わかっていても皆、どうしてもそれらを安心の基準にしちゃう。
でも、裕福で名誉も地位もある家は家で、普通の家庭は家庭で、
または、もっと経済的な悩みなどをたくさん抱えた家は家で
それぞれに悩みや問題はあります。
要するに人間性です。宮本さんがこの本でおっしゃっている
器の様なものが一番の問題です。苦しみさえも生きる原動力に
出来る人間性。それは、何を信じているか?ということが大事
だと思います。
最初、震災という天災と夫の不貞という身近な事件の両方が一度に
押し寄せたというのに、主人公の心情があまり描かれてなくて、な
んだかいつもの宮本さんよりリアリティーがないなと思ってしまい
ましたが、上巻の終盤から下巻は、本当に厚みのある、素晴らしい
「文学」だと感じました。最近、小説や、インパクトの強いお話し
はいっぱいありまして、当方も嫌いではありませんが、文学だと
言える作品を久々に読みました。
大きな流れに身をまかせて、読んでください。
読後、必ず、希望が湧いてくることでしょう。
人間とはもともと、生きていこうとするものだと、信じられます。
宮本さんは本当に素晴らしい作家です。
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