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8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
現代の格差社会に眠る人間の本性の恐ろしさ,
By DiDi (東京都世田谷区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 森に眠る魚 (単行本)
他の角田光代作品同様に誰もが見たくない、見ないようにという物から目をそらす事なく見据える角田光代の真剣さ真面目さが伺えました。
ある種の誰でも経験がある後ろめたさと恐いもの見たさにぐいぐい引きつけられあっという間に読み進み、そのうち自分でも気づかない自分自身の中に眠る本性みたいなものに向き合わざる得ない状況にたたされます。 でも本作を読み終わって感じた事は現代の格差社会の恐ろしさ。 本作のテーマになっているお受験。 すべては格差社会の勝ち組になろうとするがゆえの努力。 日本人はほとんどが中産階級で平和に暮らしていると信じているがこの話を読むとそんなのは幻想に過ぎず、明らかに格差が存在する事を認めざるを得ない状況に落ち入ります。 本作の中には出てくる5人の主人公の母親達はそれぞれが異なった環境の異なった階級に属しています。 いわゆる育ちが違うってことです。 その自分が育ったのと同様の環境の中にいる分には気づかない事を全く別の階級どうしが育児を通して知り合いになり友達になり行動をともにする事によりいやでもその違いに気づかされてしまうのです。 育ちのいいもの(都会育ちの勝ち組)は育ちの悪い物の趣味(センス)には共有できないと悟り、彼らの卑しさに気づき辟易し、貧乏とまでも行かず郊外や田舎の裕福でない家庭と環境で育ったものには自分の中にあるゆがんだ劣等感とどんなにのぞんでも身につける事の出来ない違い、勝ち組の中にあるあきらかな優越感に気づいてしまう。 それに実感をともなって気づかされてしまう事がこの話の本当の恐ろしさでしょう。 両者は相容れず格差は開いていくばかり。物語はそれに気づいたものたちが自分の領域を死守する為の行動の醜さを余す事なく伝えていきます。 昨日までキレイごとでなっていたこの世界が実はそうではなっかたと気づき足もとがぐらつく感じ・・・。 自分は周りに影響されないと思っても知らず知らずのうちに比較している。 そしてだれもが人より有利にたちたいというところで欲望が生まれ悲劇が生まれる。 社会的格差というのは今に始まった事ではないのはたしかですが昔は それぞれが立場をわきまえ身の丈にあった分相応の暮らしにそれなりに満足していた様な気がします。 それが現代では雑誌やテレビでセレブがモテハヤされちょっとがんばれば自分にも同じ様な暮らしが手に入る錯覚をおこすような情報が氾濫し、それに輪をかけるようにクレジットカード会社やローン会社によって安易お金が手に入り、その自分の物でないお金があたかも自分の物のように錯覚をおこしてしまう様な仕組みにあふれている。 この小説はそんな現代の情報社会と格差社会の生む恐怖と闇を個人の目線からリアルに書ききった一作だと思います。
12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
自分を知り、人を理解するための本。,
By
レビュー対象商品: 森に眠る魚 (単行本)
素晴らしい小説でした。中盤からは仕事を休んで、一気読みしました(笑)。 生活も、価値観も、生まれ育った環境も全く違うそれぞれのキャラクターの 5人の中に共通してあるのは羨望、猜疑心、嫉妬。 まるで心の中を覗き見られているような気持ちになりつつ 「わかる、その気持ち!!」「あるよねあるよね、そういうもやもやした 感情!!」なんて1ページ1ページ激しく共感。 正直なところ、私は「何か人よりもぬきんでた才能や容姿があったら…」とか 「家が生まれつき裕福だったら…」などと考えることがあります。 いい生活している人に憧れつつも羨望や嫉妬を感じたりもします(笑)。 仲間なのに、私抜きで遊んでる友達を見れば嫌な気持ちになり、 え。なんで私に声をかけてくれないの?私何か気に障ること言ったかな…って さかのぼってねちねち考えたりします。 友人が悩んでいると言えば一緒に考え、悩みに沿ったアドバイスをしながらも、 所詮他人事、という気持ちは常にどこかにありますし、 楽しそうな勝ち組の友人の話を聞かされ、素直に喜んだことは1回もありません。 私はこの本を読む何年も前、そういった自分の負の感情に気付き嫌悪感を もったことがありましたが、ある一定の年齢を超えてからこちら「それが 私という人間なのかな」と諦観のようなものもあったので、楽しく読み切る ことができました。 いつも中心でいたい。 みっともない思いはしたくない。 出し抜かれたくない。 男を取られたくない。 雑誌に出てくるような生活がしたい。 年を取りたくない。 上記のような感情は男女関係なく誰だって1度は感じたことがあるでしょう。 ちなみに私は何かしらいつも感じていますよ。「悲しいね」と言う人も いるかもしれませんが、いいんですよ、それで。 誰もが持ちうる健全な感情ではないのでしょうか。 (もちろんあまりに激しすぎてある一線を越えてしまってはいけない のでしょうが;;) 逆に、私の場合は負の感情のない人を心配してしまいます(笑)。 そんなこんなで長くなりましたが、そんな俗に言う悲しい感情をもってし まった時にこそ、自分をもっと深く知る意味で、そして他人をもっと深く 理解する意味で、読んで欲しい一冊です。
6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
狭い人間関係,
By 0704 "aka" (和歌山) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 森に眠る魚 (単行本)
よく似たお母さん同士の人間関係はどこにでもある風景で
多くの小さい子供を持った母親は子供中心の生活をしています。 ストレス解消や情報交換などの楽しいだけの場であれば無問題ですが つまらないことで誤解したり疑心暗鬼になっていく人間関係や課程が とてもリアルに描写されていて怖いくらいです。 今、まさに子育て中のお母さん達が読めばギクッとなる事がたくさんあり 読み終えることでママ友以外で視野を広げようという気持ちになるかも知れません。
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