欧州でのエコロジー意識は近年になって急速に形成されたわけではなく,18世紀にまでさかのぼるさまざまな基層の上に成立していることを本書は明らかにする。
18世紀のスイス・アルプスでは巡礼者のチャペルが建設され,19世紀には観光化が始まった。山頂にホテルが建ち,高山植物が姿を消すという自然破壊の進行とともに,環境意識の萌芽も見られるようになったという。アルプスに「美」を見出し,それが畏怖の念へと変わる。自然を侮ると人間はいつか仕返しを受けるという意識が生まれ,生命あるものは自然のなかで共生しているという,エコロジー意識の誕生につながったのだ。
自然保護の先駆的な活動や意識の変化を振り返りつつ,都市化や工業化より以前からはぐくまれた欧州の環境意識の「層の厚さ」を感じることができる。 (ブックレビュー社)
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