陸の自然環境が、海の生態系に及ぼす影響を研究した成果をまとめた一冊。化学や生物の用語は多少出てくるが、特に理科に詳しくなくとも読める内容である。著者は、森林と海や川や湖の環境との関連性を長年研究してきた第一人者。
「第1章:魚を育てる森」では、海の環境が、川を通じて陸の生態系とどのように関連しているのか、そして近代の陸地での自然破壊が海にも悪影響を及ぼしていることを説明している。「第2章:森が貧しいと海も貧しい」では、特に著者が力を入れて研究してきた、鉄分と海の生物の関係が読みごたえがあった。「第3章:海の砂漠化」では、石灰藻の広がりによる砂漠化について解説している。その対策として、鉄鋼礁の効果についても言及されている。「第4章:海と人間のかかわり」では、食物連鎖という視点から海の環境を解説している。赤潮や青潮も登場する。「第5章:地球環境再生のカギを握る森林と海」では、地球温暖化と絡め、人間と自然の共生の大切さを訴えている。
1993年に初版が出版されたものの改訂版とのこと。参考文献には、初版以降に出てきたものがずらりと並んでおり、内容も近年の成果を随所に盛り込んである。日進月歩の科学技術を扱っている書籍は、このように適時改訂を行うのが望ましい。