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最も参考になったカスタマーレビュー
9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
未完に終わった『人類の未来』。その構想を可能な限り再現し「あらたな未来」を考える,
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レビュー対象商品: 梅棹忠夫の「人類の未来」 暗黒のかなたの光明 (単行本(ソフトカバー))
河出書房から1970年に出版されるはずだった梅棹忠夫執筆予定の『世界の歴史 25人類の未来』。しかし、国立民族学博物館の開設に奔走する超多忙状態のなか、残念ながら未完に終わってしまった幻の著作である。本書は、その構想を可能な限り再現しようとした試みである。梅棹忠夫の手書きによる「目次」と、知的生産のツールであった「こざね」に書き記された発想メモが写真版で収録されており、『人類の未来』の構想プロセスを知ることができる。また、1970年前後に行われた、SF作家の小松左京などのメンバーとの座談会の記録を読むことによって、『人類の未来』について考えていた土壌がどういうものであったかも知ることができる。 1970年の前後に、当時30歳代から40歳代の気鋭の論客たちが「未来」についてリアルタイムで語り合った対談や座談会を40年後の「未来」から読み直すというのは、なんだか不思議な感じもする。ある意味では、タイムカプセルに入れた手紙を40年後に掘り出して読むような感覚だろうか。 梅棹忠夫の未来予測が大筋ではほとんど当たっているのは、それが予言ではなく、論理的にそうなるのは当然だという思考の筋道をとっているからだ。それは、すべてを「地球レベル」というマクロの視点と、具体的な事物というミクロの視点で同時に見ているためだ。その意味では、「地球時代を考える−SF化する科学文明−」という樋口敬二(名古屋大学水圏科学研究所教授)との1977年の対談と、「地球文明−2000年の座標−」という秋山喜久(関西電力株式会社会長)との2000年の対談が、2012年時点で読んでも、興味深い内容になっている。 『人類の未来』はもしかすると、あまりにも悲観的な話ばかりがつづくので、もし仮に1970年時点で出版されていたとしても、たんなる悲観論として片付けられてしまっていたかもしれない。だが、それから40年以上たった時点では「すでに迎えた未来」として、現実的なものとなっていることは、多くの人が納得していることだろう。だからこそ、『人類の未来』をテーマにして昨年NHK・ETVで放送されたETV特集 「暗黒のかなたの光明−文明学者 梅棹忠夫がみた未来−」が大きな反響を呼んだのだろう。 「3-11」を経験した日本人は、日本と日本人が世界のなかでどう生きていくべきなのかについて、あらためて徹底的に、根本的に考えなくてはいけない状況に追い込まれている。ETV特集「暗黒のかなたの光明」を見ていない人も、本書を読むことで、「これからやってくる未来」を考えて、何をなしていくべきかを考えていくための貴重なヒントを得ることができるかもしれない。ぜひ目を通していただきたいと思う。
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「暗黒のかなたの光明」とは?“知の巨人”が残した「宿題」。,
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レビュー対象商品: 梅棹忠夫の「人類の未来」 暗黒のかなたの光明 (単行本(ソフトカバー))
NHKEテレで、“知の巨人”梅棹忠夫氏の「人類の未来」についての特集番組を見て、非常に大きな知的興奮に包まれた。まさにその内容をまとめた本があったので、飛びつくようにして手に 入れ、引き付けられるようにして読み切った。 河出書房新社かの「世界の歴史」シリーズ全25巻の最終巻を飾る予定であった梅棹氏の幻の名著 『人類の未来』。不思議に感じてならないのだが、そのプロットと「こざね」と呼ばれるメモ書き されたカードが残されたため、梅棹氏が書こうとした骨格は知ることができる。「方向性」のみを示 し「謎」を残す形になったことが、より強く興味を掻き立てているように思えるのだ。 この写真資料を中心とした第1部、生前の梅棹氏の対談を抽出した第2部、それらをもとに5人の 論客が「『人類の未来』に迫る」と題して記した第3部で構成されている。 テレビでも強く印象に残ったのが、梅棹氏が、人間の科学を「業」として捉えていること。 すなわち「真実を明らかにし、論理的にかんがえ、知識を蓄積する」というのは、際限なく進む 「業」であり、「やがて制御可能なキャパシティを超えてしまう」と氏は考えている。 この認識に基づきながら、梅棹氏は、他の追随を許さぬほどの的確な「未来予測」を行う。 それは、将棋や碁の達人が、凡人の及ばぬ何十手も先まで、読み切っていく感覚に似ている。 そして、その行きつく先が「暗黒」という言葉に象徴される悲観的な予測なのである。 だが、同時に「光明」との言葉も併せ残し、未来の世代に「宿題」を課した感がある。 私は、この書を読み終えて、2つの「光明」を感じた。 一つは、宇宙飛行士・毛利衛氏が、宇宙から地球を眺めた際に「数千キロの視野」を獲得できる ようになり、時速約3万キロの宇宙船により時間間隔も大きく変わった、との話。「テクノロジー の進化による視野と意識の飛躍」に「暗黒のかなたの光明」を求める、との視点である。 もう一つは……。これこそがより根源的であると思うのだが、東大大学院教授の佐倉氏が指摘 する「宗教」の視点である。「日本などの非欧米圏から、より広い視野に立った、宗教と科学、 価値と事実の止揚を提案できるのではないか」との指摘は、大いに傾聴に値するだろう。 地球文明じたいが、加速度を増して「来るところまで来た」感がある今だからこそ、梅棹氏の 「未来予測」が突き付ける問題のシビアさを、まずは真摯に受け止めたい。 その上で「光明」とは何か、との「宿題」に真剣に取り組みたい。その「時」が来ていること を、この書を通してあらためて痛感した。
5つ星のうち 5.0
山屋の分際で語るなら,
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レビュー対象商品: 梅棹忠夫の「人類の未来」 暗黒のかなたの光明 (単行本(ソフトカバー))
内容は左党犬氏のレビューがすべてです。梅棹忠夫を山登り、探検から知った私にはむずかしい部分がありました。 特に学者同士の座談会などは知らない言葉や考えたこともない視点から語られ、 私の理解を超えている部分がありました。 旧制中学を2級特進して、旧制高校で3回留年して退学寸前になった人物ですが、 しっかり兵役を免除され、その後の活躍の場も確保され、 料亭で馬鹿な会話をしていられる梅棹忠夫を内包する日本はたいしたものだと思いました。 本書に栞として「梅棹忠夫展」の割引券が挟まっていたので最終日前日に日本科学未来館へ それを見に行きましたが、その展示のうまさに唸りました。 と同時にその一角に税金が投入されていることが伺えました。 こんなところにこんなに血税を注いでいるのかと反発しつつ、(税金でできたかの根拠はありませんが) 展覧会でこれほど知的興奮を覚えたのも初めてでした。 話の本書に戻し 梅棹忠夫が巨人であったことを十分再認識することが出来る書物でした。 幸いにも多くの公立図書館に梅棹忠夫著作集があるので、 今度は山や探検から離れた4冊目を借りる気に本書はさせてくれました。 マーティン親子が編集して作り上げたアルバム「LOVE」の書籍版でしょうか。
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