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桶屋の挑戦 (中公新書ラクレ)
 
 

桶屋の挑戦 (中公新書ラクレ) [新書]

加藤 薫
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

「産湯の湯桶から棺桶まで」の大活躍だった木桶も、「古い」「不便」などと敬遠され、いまや絶滅寸前。桶の良さを伝えていきたいと、各地で桶屋や桶をつかう食べ物屋たちが立ち上がった。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

加藤 薫
1961年東京都生まれのフリーランス・ライター。84年上智大学文学部史学科卒業。生協勤務、雑誌編集アシスタントを経て、ライターに。人と自然の関係性、マージナルな人間の存在などを、「神は細部に宿る」をモットーに、アジアや国内で取材(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 254ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2008/02)
  • ISBN-10: 4121502701
  • ISBN-13: 978-4121502704
  • 発売日: 2008/02
  • 商品の寸法: 17.4 x 11 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 569,764位 (本のベストセラーを見る)
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By ビブリオン トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:新書
「桶」は、一木を刳りぬいた「臼」ではなく、また一枚の薄板を円筒形に回して作る「曲げ物」とも違います。幾つかの木片を、隣同士ピッタリ合うように削り、中の液体が漏れないように、竹のタガで締めて拵える木製容器です。近世に、外国から渡来したもので、もし蓋があれば「樽」と呼ぶそうです。昔は万能容器でしたが、効率や衛生管理に優れたホーロー引きや、FRPが開発され、急速に市場から姿を消しました。主な需要者だった酒造業者が、宗旨替えをし、2000年には、木桶で仕込をする酒蔵は、1軒しかなかったそうです。その酒桶のお古を再生して、自分達の桶に使うのが慣わしだった味噌屋や醤油屋でも、供給元の酒桶がなくなり、木桶の使用は、風前の灯だったようです。

その木桶を、復活しようという人々の活動。それが少人数ながらも全国的な会を持つまでになった現況をルポしています。消え去っていくものを、惜しみただ詠嘆する日本的な美意識ではなく、時の流れに抗して、守るべき大事なものを存続させようと踏ん張り、奮闘してきたのは、外国女性でした。その最初の一歩の言葉に触発されて、再生運動に参加し、つながっていった人々。木桶を発注する酒造業者、大桶の製造技術を守っていた業者、新に学ぼうとする若者など、20人に及ぶ様々な木桶関係者を取材。細くはあるが、熱のあるつながりの線を、丹念に追っています。

個性が強い桶職人や酒造業者の言い様を、女性ノンフィクションライターの強みを発揮して、柔軟に受け止めています。相手を理解しようという気持ちが伝わり、著者の立ち位置に、共感できます。発端の人から、人を手繰って取材を続けるうちに、関係者の熱に感染して、自分も観察者の目だけでなく、実際に桶再生運動の参加者となっていく気持ちが良く分かります。追っている対象は一品だけですが、内容は豊かで、爽やかな読後感のある本でした。
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形式:新書
1960年代以降、酒蔵で使われる醸造用の容器はホーロー製タンクが一気に主流となり、日本古来から使われてきた木製の桶は、日本酒製造の舞台からどんどん消えていった。そして、木桶を作ることができる職人は高齢化が進み、受け継いできた手業も途絶えようとしていた。
そんな危機的な状況のなか、桶屋の職人や蔵元の社長などが一人、また一人と木桶の味わいを再認識して、復活に取り組んでいく。小さな点は線になり、やがて面となって……。

まあるい木桶をキッカケに、人々がまあるく繋がっていく様は、読んでいてワクワクさせられる。また、酒蔵が使った桶が、やがて醤油屋や味噌屋でも息長く使われていくといった具合に、今日で言う「循環型社会」を形成しているというのも、新たな発見だった。酒を愛し、食べ物を愛し、自然の奥深さに思いを馳せ、人と人のつながりに渇望している多くの人に薦めたい。おいしゅうございました。
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形式:新書
この本に出る「桶(おけ)」とは、おもに大桶と呼ばれる、日本酒や味噌、醤油を仕込んだり、
あるいは貯蔵しておくための、木でつくられた文字通り大きな桶を指します。
だけどほとんどの人は、そんな木桶を実際に見たことがないはず。私もそう。
酒造の現場では、木桶はほぼ100%ホーロータンクに取って代わられています。

ホーロータンクは微生物の制御がしやすく、洗いやすく、そして中身が漏れることがほとんどありません。
この点だけで見ると、圧倒的に木桶は不利です。
しかし、少しずつですが、木の桶でお酒をつくってみよう、という動きが復活し始めました。

セーラさんはアメリカ生まれの女性で、長野県小布施の小さな酒蔵をとても気に入りました。
小布施は四季の風景が美しく、人々の生活にも風習として美しいものがたくさんあります。
彼女は酒造に関してはいわば素人でしたが、すぐに気づきました。
自然と歴史と見事に調和し、どんな町よりも魅力的な小布施で、
その魅力の象徴ともいえるこの酒蔵に“木桶”があれば最高なのに、と。

製造過程を厳重に管理した結果、おいしいお酒を少ないリスクでの製造が可能になりました。
しかし木桶には、職人などが代々培ってきた技術と、いかにうまく貯蔵するかという戦いの成果が一杯詰まっていたのです。
つまり、現在では桶づくりや桶での酒づくりは切れかけの糸のようであっても、
人間が長い時間をかけて築いてきた“文化”であり、
自然と闘い、調和を勝ち取った人類の叡智がエッセンスとして詰まっているのです。
−そうすれば、桶屋は文化の伝達者ともいえる…簡単にその灯を消していいのか?…
この本では、セーラさんのほかいろんな酒蔵の人たち、そして桶屋さん自身でそれに気づきはじめた人たちが、
まるで木桶の側板のように互いにくっつき、まるい輪となっていくのが書かれています。

便利さより大事なもの…たしかに今の時代、木桶にこだわるのは大変です。
でも、経済や効率優先のなかで、木桶がもつ「よさ」がわかる感性を、私も持ちたいです。
そのため、桶屋さんが“挑戦”し続けてくれることに感謝します。
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