桜鱒の棲む川、言い換えれば本来あるべき健康な川と言う事でしょう。本書では桜鱒の生態や、日本の川から如何にして桜鱒が追いやられたか、またどのような狡猾さで人間の魔の手から逃げ仰せて来たか、そして未来はあるのかなど、著者が長年にわたり調査研究されて来た集大成で、桜鱒に限らず現在の日本の河川環境を考える上で貴重な一冊だと思います。これまでシロザケに習い行われて来た増殖方法では一向に成果が上がらず、運良く逃げ仰せ上流までたどり着き、自然産卵に成功した者たちで命のリレーをしていたというのは何とも皮肉な話です。また各地のダム問題にも触れており、民主党はマニュフェストを守り抜く事ができるのか心配でなりません。さらにいえば、上流で産卵する桜鱒をはじめ朔河性の鮭鱒類にとって、魚道の無いあるいは機能していないダムの類いは致命的であるため、一刻も早く撤去もしくは機能回復の指導を望むばかりです。まさにダムが無ければ桜咲く......。