表題通り有名な実在の人物をモデルにして書かれています。
『桜花を見た』は巻頭作品で一番短いお話しです。
身分の違いから逢いに行かれぬ栄助(隠し子)の心情が細やかです。
栄助の奉公先の足が悪く出戻りであるお嬢様に助けられて実父と一期一会の
出逢いを果たします。このお嬢様も素敵でした。
二作品目の『別れ雲』は亭主に潰されてパッとしない筆屋の娘・おれんが
10歳近く年下の絵師と恋仲に発展するのですが…、
悲しいかな様々なしがらみに遭い恋の行く末は波乱で悲愁を感じました。
『酔いもせず』は葛飾北斎の娘・お栄のお話しです。
お栄はなかなかの勝気で男勝りの気性に頼もしさと親しみを持ちながら
読みました。ラストは少し寂しかったかな…。
『夷酋列像』と『シクシピリカ』は二作とも蝦夷地の話しであり、
私には主人公よりも当時のアイヌの人々が不当な扱いを受けている様子が
なんともかわいそうになり印象に残りました。
短編集としてはかなり読み応えのある作品で宇江佐さんらしい細やかな心情と
綿密な構成にページをめくる手が止まらず一気読みしました。