シリーズ第20作
毎年1回9月に刊行される杉原爽香シリーズの待望の最新作です。
本シリーズは、現実の時間の流れに対応して、1年に1歳ずつ登場人物も成長していくという異色の作品です。つまり、第1作では、15歳だったわけです。
本作は、ヒロイン「爽香」が無断欠勤している部下の「宮本」を訪ね、爽香の中学時代の恩師「布子」が勤務する中学校の女子学生「怜」が関わる事件から物語がはじまります。その後、怜が出会ったある不思議なホームレスの男性とのかかわりを通し、物語は進んでいきます。
本作も今までの作品同様スピード感があり、とても読みやすいです。ですが、だからといって軽々しくなく、なかなか密度の濃い作品です。
読み終わった後に、「桜色のハーフコート」というタイトルにこめた作者の思いを感じました。今までの作品の中で、もっとも深いタイトルだと思います。
自分自身や周りの人々の様々な苦労を背負いながらも、凛としているヒロイン爽香の生き様は、本当にかっこよく、見習いたいものです。
なお、5点でなく、4点にしたのは、物語終盤のある記述で少し疑問な部分があったためです。
明記はされていませんでしたが、次回作もありそうな雰囲気なので、また1年後を楽しみに待ちたいと思います。