第14回電撃大賞最終選考作にして賛否両論の問題作、というキャッチだが、さもありなん。
読めばすぐにわかるが、これ、ティーンには面白さは理解できないと断言しよう。
完全に働いている大人向けの作品である。私には最高に興味深かった(とかいておもしろかったと読む)。
この作品を楽しめるには、いくつものハードルをこえなくてはならない。
モチーフとなっている戦隊モノというハードルがひとつ。ゴレンジャーという初代(初代という扱いについての細かいツッコミはこの際おいておく)や初期作品ならではの特徴をおさえつつ、レッドが女性だったりするアレンジの“妙”を理解できるかどうか…。
また、主役のひとりたる父・源之助の“古きよき父”というタイプが感覚的に理解できるかどうか、というハードルがひとつ。
現代性は無いが、ざっくりとした温かみのあるイラストが受け入れられるかどうかというハードルがひとつ。
そして、その先にある人情噺に感動できるかどうか…。
物語は丁寧な生活と心情の描写と共に、頑ななヒロイン・麗華を解きほぐしていき、それこそがクライマックスの爽快感や整合性に集約されていく。
父と息子の関係、夫と妻の関係、母と娘の関係。人と人との繋がり・営みが大きな軸となっており、展開そのものは危うさもなく安心して読める。
その様はなんとも現代の、リアルな意味での生活には無くなったとされる感覚が中心であるが、しかし我々が社会情勢として受けている現代性にはないものだから、ファンタジーな設定と融合し、エンターテイメントになってしまっている。
正直、ティーンだと中盤の芙美枝の告白とクライマックスの源太郎の告白でグッとくる感覚は、多分状況として理解できても感覚では理解出来無いだろう、と思うのである。
ああ、これほんと、たまんないよ…オタクおじさんには!ないちゃう。