太宰さんの作品を最後に読んだのは、大学生のときですから、ほぼ40年前です。収録作は、ヴィヨンの妻、秋風記、皮膚と心、桜桃の4作です。ヴィヨンの妻ですが、身分はすごいが、それを隠し、自分を偽り、闇の飲み屋で3年間無銭飲食し、飲み屋の夫婦、そしてその他の人々をだまし、挙句の果てにその夫婦から、5000円盗んだ為自宅まで押しかけられ、初めてその事実を知る妻。妻は、その責任を取って、その飲み屋で働く事になりますが・・・
桜桃は、あまり売れない作家、狭い家で妻、長男、長女、次女の5人暮らし。妻は、妹の見舞いに行きたいという。しかし、家事が全く出来ない夫は色の良い返事をしない。彼は子より親が大事と考えている。なぜなら親は子より弱いから?・・・太宰さんのことを少しでも知っているならば、どこまで事実で、どこからがフィクションなのか判然としません。彼の文学は、一言で言うと、ちょっと薮にらみの弱者の文学です(独断と偏見御免なさい)。だから、私は嫌いです。しかし、彼のこの様な特質は、いまだ続く桜桃忌、又墓前で自殺した田中栄光(代表作オリンポスの果実)の例を引くまでも無く、熱烈なフアンを持っているのもまた真実なのです。
最後にこれは、今回10冊刊行された280円文庫の1冊です。私は、この本と、家霊、一房の武道の3冊を購入しました。280円ですから、短編、中篇のラインナップになると思いますが(かっては、岩波文庫、新書でもこういった形態があった。)、何とほぼ総ルビ・・私たちはこれで漢字の読み方を覚えた・・、そして略年譜、おまけに著名人のエッセイまで付いています。今後は、年10冊の刊行を目指すらしいです。発想自体は素晴らしいので、今後の更なる発展を祈っておきます。でも何で280円なのだろう?3コインという事?誰か教えてください。