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桜の園 (岩波文庫)
 
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桜の園 (岩波文庫) [文庫]

チェーホフ , 小野 理子
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

南ロシアの5月,美しく咲いた桜の園に5年ぶりに帰ってきた当主ラネーフスカヤ夫人.思い出に浸る彼女を喜び迎える屋敷の人びと.しかし,広大な領地はすでに抵当に入り,まもなく競売にかけられる運命にある.さまざまな思いの交錯するなか,いよいよその日がやって来た…チェーホフ最後の,そして最も愛されてきた戯曲.〈新訳〉

内容(「BOOK」データベースより)

南ロシアの五月、美しく咲いた桜の園に、五年ぶりに帰ってきた当主ラネーフスカヤ夫人。思い出に浸る彼女を喜び迎える屋敷の人びと。しかし、広大な領地はすでに抵当に入り、まもなく競売にかけられる運命にある。さまざまな思いをよそに、いよいよその日がやってきた…。チェーホフ最後の、そして最も愛されてきた戯曲。 --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 173ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1998/3/16)
  • ISBN-10: 4003262255
  • ISBN-13: 978-4003262252
  • 発売日: 1998/3/16
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.4 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫|Amazonが確認した購入
 副題に「四幕の喜劇」とあるように、『桜の園』は紛れもなく喜劇である。どの点に於いて喜劇なのだろうか。桜の園を所有する地主階級の風刺に於いてではない。人物個人の風刺に於いてでもない。この作品が喜劇であるのは、社会やそれを構成する人間の滑稽を風刺しているためではない。人間全体そして人間性を全く肯定している点に於いて喜劇なのである。
 確かに、個々の人物は皆滑稽な面を備えてはいる。財産が底をついて尚浪費を止めないラネーフスカヤ、大学生ロパーヒンの無邪気な理想を全く疑わない世間知らずのアーニャ、従僕である自分の立場も弁えず周囲を冷笑してばかりいるヤーシャ、等々。しかしチェーホフは、これらの人物を冷笑すべき、風刺すべき人々としては描かない。桜の園は血の日曜日事件を控えた帝政ロシアの象徴として、個々の人物は各々の階級の象徴として描かれてはいる。だが、何れも何かの罪を負ったものとしてではなく、ただ今ここにある、今ここにいるものとしてだけ描かれる。最後に旧世代の象徴であるフィールスが、売られた屋敷で一人死ぬが、それとても今此処で死ぬべきだったというだけである。
 悲劇と喜劇は表裏一体のものであり、悲観が勝った時には悲劇の相、楽観が勝った時には喜劇の相となって現れる。笑いはどちらに於いても起こる、或いは起こらない。チェーホフのこれまで人間を描いてきたなかでは、否定的姿勢が勝っていたが、1890年代後半から肯定的姿勢が勝るようになり、『桜の園』ではそれが頂点に達しているように見える。
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Vicky
形式:文庫
それまでに持っていた権益を失って落ちぶれる人と新しく力を持つ人が現れるのは世の常ですが、その様が非常にリアルかつ切なく描かれている印象です。
特に、ラネーフスカヤ夫人のどうしようもなさ(彼女はとても良い人なのですが、状況の変化に合わせて自分が変わることができない)が非常に印象的です。
一方で、若い人たちは変わっていくし、新しい世界や生活に向けた生き生きとした感覚がある、というところも好きです。
このレビューは参考になりましたか?
11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 三輪そーめん トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
この手の海外文学は新しく訳されるたびに
文章と感動のレベルが下がっていくのが常ですが
この小野さんの「桜の園」の訳は違います。
非常に読みやすく、各登場人物に感情移入が出来る作品になっています。
文体は丸みを帯びた暖かい感じであり、桜の園消失の存亡の中にも
自分のペースを失わずに生きている少し哀しくて可笑しい人々が生き生きと描かれています。
桜の園本来のコメディの趣旨を生かした日本語訳としては
多分唯一のものではないでしょうか?
訳者のあとがきを読むと全登場人物と作品に対する愛情がひしひしと感じられ
この作品の登場人物の生き方も欠点もその人物の個性と愛着を持って語り
訳されている台詞は登場人物の感情を良く吟味して訳されているように見受けられます。
通常は没落地主の悲劇性を強調する解釈が多いのですが
この訳文ではむしろ新しい時代に旅立っていく人々の明るい未来が垣間見えます。
そうした新時代の幕開けの中で90近い執事のフィールスが桜の園に留まるラストは泣けます。
各人が新しい人生の旅立ちの為に駅に出かける中で
桜の園を人生の終着駅にしなくてはならない老人のぼやき。
この訳文で初めて涙が出たシーンでした。

小野さんは「ワーニャ伯父さん」も訳されておられますが
是非「かもめ」「三人姉妹」も訳して欲しいものです。
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