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桂川
 
 

桂川 [単行本]

出雲 優生
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 単行本: 190ページ
  • 出版社: 牧歌舎 (2011/12)
  • ISBN-10: 4434160656
  • ISBN-13: 978-4434160653
  • 発売日: 2011/12
  • 商品の寸法: 19.7 x 13.6 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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希有な小説 2012/1/31
By 祭りの後 VINE™ メンバー
題材が題材だけに、「面白い」という言葉を使うのはどうかと思うが、一個人の体験談として文句なく面白い小説である。190ページという短い中に、よくもこれほど豊富な情報を詰め込んだと思うほど内容は濃密である。この作家の作品は、とにかく内容が濃い。単に物語としてだけではなく、解説書としても使えそうなところは「石神井橋」同様で、恐らく意図してやっていることなのだろうが、この作家の独壇場である。

そして展開される原発事故に関しての政府の対応やマスコミへの鋭い批判は、思わず「その通り」と叫びたくなるような部分である。それでいて政治的な小説ではないし、特に反原発小説というわけでもない。平和な時代に生きていた一般市民がいつでも陥るような恐怖を、原子力発電所の事故という形で象徴的に描いているとも言える。「制御不能になっているのは、人類そのものなのではないか」という文章や「日本の抱える最大のリスクは政治家である」といった文章には共感せざるを得ない。「桂川」の流れに日本の未来を思う主人公は、今我々がどう行動すべきかを問うているのかもしれない。2011年に起きた歴史的大事件を綴った小説として貴重かつ希有な小説である。
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6 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
読後感として深い余韻を残してくれる作品です。「う〜ん」と唸って席を立てないような脱力感に襲われました。ストーリィは東京で働いている外資の金融マンの東日本大震災が起きてからの一週間を記録したかたちで展開していきます。震災が起きて、主人公の金融マンに原発事故のことを調べろと社長命令が下る。なぜなら場合によっては会社が東京から避難しなければならないから。命令を受けた主人公は、あちこちからの情報収集に東奔西走する。その過程で原発事故の真実が、理詰めで巻物を広げるように明らかになってくる。派手なアクションもないし、絵空事みたいなミステリーもないんです。淡々と真実が語られるんです。

あの一週間を共有していた私たちには、あの時の緊張がひしひしと伝わってきます。フィクションってなってますけど、枝野官房長官なんかも実名で登場してるし、もちろん東京電力とか大学の名前とかもそのまま出て来ます。だから、小説ではあるけど限りなくドキュメンタリーに近い気がします。それだけにリアリティが半端じゃない。専門家ではない私たちにはこの本に書かれていることのどこまでが本当なのかわかりません。でも、読んでいて変だなって思わせるところもないし、すべて辻褄が合っているからきっと真実なんだと思います。そから蛇足ですけど当時の報道や、日本政府に対する批判の鋭さは私が思っていても口に出せなかったことを代弁してくれているようで胸がすっきりしました。
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小説のパワー 2011/12/25
震災のことも福島原発事故のことも誰もが忘れたいと思っているけど忘れられない出来事だ。忘れてはいけない出来事だと思う。原発事故を外から見つめていた我々にとって、この小説は大事な記録として残っていくと思う。ストーリィは原発事故を外から見ていた金融マンの話だ。原発事故が起きて外資系金融会社の中が大騒ぎになる。その対応に追われる金融マンが原発事故の真実に迫って行く様子が緊迫感にあふれる描写で描かれている。事故現場の大変さとかはないが、東京に住んでいた人達にとっても忘れられない事故があの事故だったのだ。原発事故を扱った本は多いし、NHKのスペシャルとかも見たが、「桂川」はその中でも小説としてのパワーを見せつけてくれる作品だと思う。
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