400頁を超える一書だが、現代日本におけるいわゆる格差社会化や貧困問題について深く考察するための基本視座と重要な処方箋が凝縮された一冊。各対談者による論点整理そして原因分析が見事である。
経済のグロ−バル化に伴い格差そして貧困が不可避的に増大していく以上、「社会的包摂」(湯浅誠氏のいう「タメ」や「含み資産」)をいかに担保していくかが、日本社会を健全に維持していくための最重要課題であるとの(本書を通じての)結論に深く同意する。しかし一方で、アメリカのような「市民宗教」(ロバート・ベラー)や欧州における労働組合を媒介とした市民の「連帯」、中国人やユダヤ人の「血縁主義的紐帯」などの伝統もなく、家族や地域社会といった「社会的相続財産」を破壊し尽くさんとしている今日の国内の惨状には暗澹たる思いを抱かずにはおられない。
「自分の選択肢が増えるということは、相手の選択肢も増えているのです。相手から選択されない確率もどんどん高まる」(9頁、山田昌弘氏の発言)。
「「ハイパー・メリトクラシー」の特徴は ・・・・・・ いったいどうやって身につけるのか、どうやって測ったり証明したりできるのかわからないものが重視されるということです」(64頁、本田由紀氏の発言)。
それにしても、今何とかしないと日本がこのまま「泥舟」と化してゆくのは間違いないように思えてならない。まずは、ひとりびとりが声を上げることがとてつもなく大切であることを痛感した。