過去の新聞、雑誌に掲載した原稿をまとめた1冊だが、
えらく硬質で難解、かつ本質的な指摘が数多くある、
骨太な1冊だ。
新聞に掲載されているということは、
実は文章は読みやすく分かりやすいのだが、
内容が難しいという、
ちょっとやっかいな特徴がある。
本書は2006年に書かれた文章が多く、
「今とは違う」日本の姿が描かれている。
格差社会の問題も、ワーキングプアが主題であるし、
雇用の問題も正規、非正規の問題として認識されている。
貧困や派遣といった08年にクローズアップされた問題が、
まだまだ副次的な課題認識のレベルにとどまっている。
世の中が変わったことに愕然とした。
本書の指摘の中では、
格差の原因として是非を問われることが多い、
規制緩和に関して、
弱者というくくりに、
「実際の弱者である若者」と「実は規制緩和で既得権を失う中高年」が、
同居していることを解説しているが、
これが一番インパクトのある指摘であった。
社会学の本ばかり読むのではなく、
たまには経済学の本を読むべくだと思った。
視野が広がる。