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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
『万延元年のフットボール』を書きあげた小説家は、1968年、意欲的な連続講演をおこなった。文学とはなにかを問い、沖縄とアメリカを考え、映画と明治百年と犯罪を論じ、往生要集やヌーボー・ロマン、そして核時代の生き方をめぐって語り続けた。今こそ鮮明な11のメッセージに、2007年の新たなエピローグを付す。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
大江/健三郎
1935年、愛媛県生れ。東京大学仏文科卒業。在学中に「奇妙な仕事」で注目され、1958年に「飼育」で芥川賞を受賞。以後、つねに現代文学の最先端に位置して作品を発表し続けてきた。1994年にはノーベル文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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形式:単行本
この著書は想像力の問題を扱ったものである。キーワードはもちろん「想像力」であるが、これが現代における「文学」活動の意味、これを問う際に重要になってくる「同時代性」に関連して語られている。
構成は以下の通り;
※プロローグのための短い小説
1.戦後において確認される明治
2.文学とは何か?
3.アメリカ論
4.核時代への想像力
5.文学外とのコミュニケーション
6.文学とは何か
7.ヒロシマ、アメリカ、ヨーロッパ
8.犯罪者の想像力
9.行動者の想像力
10.想像力の死と再生
11.想像力の世界とは何か
著者である大江健三郎氏の想像力に関する理論はJ・P・サルトルの実存主義的想像力論に依っている。想像力とは観察とセットにして個人の認識を完成するカテゴリーである。観察とは非常に多面的な在り方を持っている客体(現実)の知覚的認識を構成する。しかしこの観察は知覚的な認識カテゴリーである限りは必然的に、この客体を構成する無数にある局面のある一面しか捉えることはできない。ここでこの知覚的営為である観察というを補完するための想像力という能力が導入されるのである。想像力は観察がもたらす局部的認識をまとめあげ、全体的、総合的な認識へと昇華する。ここに観察と想像の弁証法というものが素描されるのである。
また著者はこの想像力に関連して文学とは何か、現代において散文を書く「意味」について論ずる。ここで問題となるのが同時代性という概念である。
現代における文学活動とは同時代性の営為である。同時代性とは、現在の世の中で、同じ時代に生まれ、活きる存在、即ち、読者と同じく世界内存在として、時代の状況に絶対的に規定、拘束されている存在である作家が現実という世界に如何に接触、経験、思考、判断、そして関与(アンガージュマン)しているのかという観点である。読者は作者の作品を通して作者の持つ見方を間主観的に経験し、個人という状況による絶対的拘束性から解放され、新たな認識を獲得するのである。
冷戦終焉の久しい現代において、核兵器のもつ差し迫った危機感は決定的に薄れており、時代感を感じざるを得ない。しかし、核拡散の危険性は北朝鮮、イランまたは、トランスナショナルなテロリストグループの存在によって、実際は今まで以上に高まっているのであり、「核時代の想像力」は不断に問われていかなくてはいけない、永遠のアクチュアリティを有している。
この本質的にアクチュアルな「想像力」とはその芸術における意味、自己と他者、社会一般、またこれを拡大して世界や歴史との関係を考察するにあたって極めて重要な示唆を持っている。そしてこれは究極的には、想像力とは個人がこの世界で生きるという行為の意味を問う倫理の問題へと繋がっているのである。
大江健三郎という作家が、個人として如何に世界に真摯に向き合い、対決しようとしているのかが随所に読み取れる作品であり、永遠の世界内存在として運命付けられているわれわれにとってその精神自体に学ぶべき点があるのである。
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