本書はサントリー文芸賞受賞作である。読み応えがある一冊である。
1964年中国が最初の核実験に成功すると、当時の佐藤政権は日本は核武装すべきか相当悩んだとされている。米国は日本に核武装を思いとどまらせようと、日米安保条約締結強化、核の傘の提供を行い、佐藤首相は世論の核アレルギー、政治コスト、経済成長重視などを考慮し、核武装を断念する。その代わりに、日本は米国に宇宙開発を認めさせるのは興味深い。
原子力は莫大なエネルギーを発生させるが、核兵器にも原子力発電にも使えるので国家の発展を目指す「為政者」にとっては魅力的な技術である。
今、日本で減原発依存が議論されているが、原子力に依存しない電力を開発するから原子力を放棄するという単純な話ではない。中国の台頭と米国の退潮が懸念される中で、核武装の議論は再び政治課題となってくる可能性が大きい。