井手正介氏が個人投資家向けに書いた株式投資入門書.グレアムが書いた古典的名著の「賢明なる投資家」を現在の日本にあてはめたような内容と表現するのが最も簡潔な評価だろう.対象が現在の日本なので大抵の日本人にとっては賢明なる投資家よりも役にたつものになっている.最近の本なのでデータベース(簡単に手に入るもの)やパソコンを利用した部分もある.
第一部は本当の入門的な内容.入門といっても書店に平積みの本のような内容じゃなくって投資の理論面の入門的内容です。株式投資はハイリターン,短期売買はマイナスサム,株式の分散長期投資はローリスク・ハイリターン。そして、なぜそうなるか。そんな話.第二部は一般論.市場の効率性,消極運用,積極運用,裁定取引,トップダウンアプローチなど.ありがちな効率的な市場の擁護や批判ではなくって、市場の効率性と株価の変動の関係、どんな市場が非効率的になりやすいかなどが述べられている。
最後の第三部は本書を特徴付けるものであり、グレアム流儀を中心としたバリュー投資を説明している。グレアムとバフェットの手法が懇切丁寧に説明されており,著者が数年にわたって日本市場で行なった実証実験の結果も詳しく述べられている.素晴らしい.面白い.買ってよかった。